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不幸体質
檻の中に、一人の少女。
黒髪。
無表情。
鎖に繋がれているのに、騒がない。
その周囲で、小さな事故が続いていた。
木箱が倒れる。
縄が切れる。
商人が転ぶ。
「だから言ったろ!こいつは疫病神だ!」
商人が怒鳴る。
少女は淡々と呟く。
「……私といると、壊れます」
俺の視界に表示が出る。
【鑑定しますか?】
「する」
――――――
職業:不幸体質
説明:周囲の確率を乱し、事故を誘発する
※災厄職との共鳴反応あり
――――――
「共鳴?」
その瞬間、遠くで爆音。
騎士団がこの区画に入った。
少女の周囲でまた看板が落ちる。
俺の災厄と、
彼女の不幸が反応している。
最悪の組み合わせ。
少女が俺を見る。
「……あなた、危ない人」
「お互い様だ」
鎧の音が近づく。
時間がない。
俺は商人に言う。
「それ、いくらだ」
「は?安いぞ。どうせ売れねえ」
金は足りない。
サイコロを握る。
振れば金が出るかもしれない。
爆発するかもしれない。
少女が静かに言う。
「……逃げたほうがいい」
俺は笑う。
「俺はな、逃げるより賭ける派だ」
サイコロを弾く。
コロコロと回る。
出目は――




