黒いコスモスは雪化粧を汚されてぶちキレる
私は以前辞めた会社で、黒いコスモスと呼ばれたOLの黒里桜子。
元事務員で社長秘書のジーコに誘われた会社で、再入社したのは良いの。
私が多少武道の心得があるせいか、ジーコの企みか、彼女と同じ社長秘書の一人に抜擢された。
「だってさ、高給取りが私一人だと心苦しいもの」
金魚人にしかまともに売れないビール作りだけで、国会議員並みの給料が出る会社。
冗談かと思ったのに、本当だった。
「心苦しいとか、そういう問題?」
「私に聞かないで」
ジーコも苦労している。売却額十数億円分の金塊は、真守会長を通じて処理されたらしい。
「貰える時に貰っておきなよ。っていうかさ、社長と会長の世話を私一人でやんの無理」
会長がさっさと帰ってくれればいいのだけれど、花火大会まで居座るらしい。
「まあ完全に協賛金は会長持ち。好き勝手にやるわけよね」
会長はジーコが世話するようなので社長を任された。金星人を名乗るマヤ社長はこのご時世、金運が異常に良い。
その分狙われやすいので、私が護衛に選ばれたのだ。
「鰹の木が鮪になったんだけど金魚ビール飲むかな」
相変わらずマヤ社長は、何を言ってるのか意味がわからない。この社長とサイキックな会長を相手に、確かに一人では病む。
「鰹が平気なら鮪も大丈夫でしょ」
「そうだね。あげてみるよ」
我が社ながら考えたら負けなのよ。出来れば触れない方がいいのだけれど、そうもいかない時もある。
花火大会が始まった。雪景色に色とりどりの花火は美しい。黒いコスモスも、雪化粧の中なら映えるのかも。
少し感傷的な気分に浸っていると、たまごの花火職人が会長を怒らせて空の彼方へと逃げた。
……嫌な予感がする。私の予感はあたる。翌朝、雪山の町の空に大艦隊が現れた。
近隣の航空自衛隊が派遣されて来るも、敵うはずのなさそうな異星の船。
この美しい雪景色の中で、私達は死ぬんだ────そう思った。
ただ大艦隊はトラブルを抱えていた。たまごの花火職人により、武装を全てたまごにされ、メレンゲの泡を出したり、温泉たまごの雨を降らせ逃げ帰った。
助かったのか……そう思って見渡してみると、美しい雪景色は割れた温泉たまごと殻で目茶苦茶だった。
あのたまご許すまじ。理不尽だけど、私は自分を汚されたようで、たまごの花火職人に八つ当たりした。
たまごがボロボロ落ちて来るたまごボーロ事件は、たまごが凍った後に回収されて片付いた。
回収されたたまごは鮪の木の肥料にされたようだ。
お読みいただき、ありがとうございました。この物語は、なろうラジオ大賞5の投稿作品となります。
たまごを焼く話しを書いたので、今回は凍らせる話しを書いてみました。たまごは凍ります。料理法もあるようですが、ここでは割愛。
凍って膨張してヒビ割れたたまごの殻の菌が、内部に入り込んで繁殖することがあるそうなので、実際に調理して食べる際には注意して下さい。
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