至道
波打つ荒れた道が
まっすぐ水平線の向こうにまで伸びている
目には見えても存在しない道を
見ることの出来ない者が渡っていく
至道
彼方の岸へ続く道は
吸い込まれるように星の端の向こう側へ
触れてしまえば消える道を
触れることのできない者が渡っていく
始道
ここがその道の始まり
ここからがその道の始まり
想いは連れていけない道を
想いを捨てられない者が見送っている
思道
僅かな時だけ繋がる道は
望めば幾度も繋がり続けて
それでも記憶の砂粒は
波が寄せる度にさらわれていく
目にすることが出来なければ
共に渡れないことを悲しむことはない
目にすることが出来なければ
想いを送ることもない
寄せてくる波は
拒絶のようで
引いてく波は
受け入れてくれるようで
来てはいけないと言われているのに
忘れないでほしいと言われているようで