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辺りは薄暗かった。手元の銃も、先にある倉庫も、ぼんやりと見える。グリップを握りなおすと、手が驚くほどに汗ばんでいたことに気づく。
ゆっくりと壁から顔を出すと、建物の裏口のようなところで誰かが立っているのが見えた。
……ッ
早まる鼓動を抑えながら、手のひらの汗を服で拭い銃を持ち直す。気持ちを落ち着けながら、改めて今回の任務----もとい試験の内容を思い浮かべた。
(裏口の守衛----アイツの頭に一発入れて逃げるだけ。人数は一人しかいないはず……)
グリップを握る右手を左手で包み込み、顔の前へと持っていく。風は吹いてない。少し視界は悪いが、対象の姿は十分に捉えられる。ゆっくりと息を吸い、少しだけ吐き出す。アイアンサイト越しに相手の頭が見えた。
(さようなら)
引き金を引く。