2ー3
ここが異世界、、、
正面には木々が生い茂る森。反対にはダンジョン入り口がある岩壁。そして目の前の宝箱。
改めて見ると、、、異世界感ゼロ。
宝箱がなかったら本当どこの山奥ですかと言いたくなる。
宝箱もよくゲームや漫画で見る木製のものですけど。
あっ。宝箱に反応して腕輪が鍵になりました。では開けてみますか。思い返せば最初はこの為にダンジョン攻略したんでしたね。様々なトラブルもありましたけど今となってはそれもスパイスです。
鍵を刺し、カチャンッと音がする。
さて、中身は何かな。ワクワクッ。
それは宝箱の大きさと比べると余りにも小さかった。
「へっ?」
つい声に出てしまった。
指輪が1つ。至ってシンプルなシルバーリング。よく見ると内側に文字のようなものが刻んである。
取り敢えず嵌めてみる。中指ぐらいが丁度良さそうだ。
嵌めると脳に情報が流れてきた。
召喚の指輪。
レアリティ SS
召喚するにはMPと使役している、もしくは媒体が必要。
どちらかの条件も満たしていない場合最大HPとMPの半分が必要。
MPは召喚するもののレベルが高いほど消費MPは比例して大きく消費する。
またHPとMPのみで召喚し、大量のMPを消費した場合この指輪は壊れる。
指輪が壊れても召喚したものは消えない。
召喚したものの破壊、召喚主の死亡により召喚したものは消滅する。
召喚主と同レベル以上は召喚できない。
異世界アイテムキター。脳に直接情報が流れてくるとか、凄すぎる。めっちゃテンション上がります。財宝や凄い剣とかを期待して、最初に拍子抜けしてごめんなさい。
どうしよう今すぐ使いたい。でもしっかり考えてから使ったほうがいいのは間違いないです。
この衝動を抑える為にも頭を冷やしましょう。
そういえばこの世界に来てまだ1度も身体を洗っていませんでした。でも身体は汚れていないのは【イートヒールオール】のお陰ですかね。食べるたびに汚れが消えてたし。
それでも気分的には余りよろしくはないので先ずは水場を探しましょう。
「Tちゃん。分かる?」
『現在地図ヲ保有シテイナイノデ、位置ハ不明デスガ地形ヲ考エルニ、正面ヲ20分ホド歩ケバ水場ガアルト思ワレマス。』
洞窟内で私とTちゃんとは理解を深め合った。その結果Tちゃんとあだ名で呼び、考えている事も言わずとも察して情報を提供してくれるようになった。
元々戦闘では出来ていたのを、日常会話にも取り入れた。ただTちゃんは客観的判断しかせず、ユーモアや冗談など通じず、最初は結構傷ついた。今はそれも愛嬌と捉えている。