2ー2
どれぐらいたっただろうか。
ようやく魔力のコントロールも様になってきた。肉を焼くのは勿論、風を纏い、浮いて移動もできるようになった。
そして何より複数の魔法をコントロールしての同時展開。これにより更に魔法の幅が効くようになった。半分以上のの時間はそれに取られたけど。
「今までよく頑張りました。私から教えることは何も有りません。」
「本当にありがとうございました。
あと今まで尋ねようと思っていたのですがここに宝箱的なアイテムというか、お宝というか、そういったのってありますか?修行中に尋ねるのも気が引けて、、、。」
「それでしたらあの扉を開けた向こうにあります。」
「でもあの扉って外へのワープポイントみたいな物ですよね?外にあるんですか?」
「はい。正確にはあの扉を開けた物が外に出ると宝箱が出現するようになっているのです。そしてその宝箱はダンジョン踏破者しか視認できず、開けることもできません。」
「例えば、例えばですけど、ダンジョン途中からここをクリアした場合はどうなるんでしょうか?」
、、、嫌な予感がする。
「そのようなことはないと思いますが、その場合は宝箱は出現しません。
ダンジョン入り口には自動的に手首に腕輪が装着されます。それが宝箱出現に必要なもう一つの物。腕輪が鍵になります。
ときに超越者よ、腕輪は何処に?」
やばい。冷や汗が止まらない。顔が引き攣っているのが自分でも分かる。
おかしい。様々なスキルを持っているこの私が?
震えも止まらない。
、、、
「ちょっと外に用事を思い出したのですませてきますね。あっ、すぐに戻って来ますのでお気になさらず。」
バビュンッッ
感動的な別れもなく全速力でこのダンジョンを出る。
扉が開き外に出る。感動や感慨深いものが込み上げて来るのだろうが今はそれどころではない。幸い入り口にワープポイントは設置されていた様で探す手間が省けた。
腕輪が装着されたのを確認し、猛スピードでダンジョンを進んでいく。途中空箱や、宝箱、骨や装備などがあったがそれも華麗にスルー。目的はクリア報酬の宝箱。こんな所で道草を食っている場合じゃない。
こうして最初に辿り着いた時間よりも大幅に時間を短縮して戻ってきた。これもスキルと修行で身につけたシルフの力で風を纏っているおかげだ。
「ハァハァ、、、。」
流石に1本道とはいえモンスターの攻撃を避けながらここまで来るのには骨が折れた。もう2度とやりたくない。
まず呼吸を整えよう。姿勢を直し、今できる最高の笑顔を向ける。
「貴方との別れは寂しいですが、これでお別れです。今までありがとうございました。」
手を差し伸べるが微妙な間の後、握手を交わした。若干気まずい。
「何もなかったかのように話しますね。
コホンッ、、、まぁ良いでしょう。改めて言いましょう。今までよく頑張りました。私から教えることは何も有りません。貴方の旅路に幸運があらんことを。」
こうして無事?感動的な別れをしたのであった。
、、、