1ー5
ここが50層目。
大きい扉。ここに触れてくださいと言わんばかりの扉に書かれたギミック式の魔法陣。
ゲームならセーブポイントがあるのに辺り一帯を見回しても何もない。
クリアすれば地上に出られるのか。今まで色々ありすぎて社会人の記憶が朧げに、、はならない。
あの辛い日々を忘れられるものか。あの至福の料理達を忘れられるものか!
ここの環境もあまりいいとはいえないものの、楽しかったなぁ。今まで画面の中でしかみたことのない風景、モンスター討伐。辛くはあったけど高揚し、充実感があった。
ただ食事が不味いのだけが辛かった。でもその食事のため、更なる冒険のためにもいざ、、、。
スッ
ゴゴゴ、、、
手をかざすと扉一面の魔法陣が光り、重苦しい音と共に徐々に開く。
ペタペタペタ。足音が響く。
中に入り周りを見るがモンスターの影すらない。大きな空洞には魔石がそこかしこに生えており白光している。光のお陰で最奥には扉のようなものが見える。
私は知っている。ここで油断してはならないと。
「ここまで人がくるとは。ここに入ったからには、覚悟の上での事。その力試させてもらいましょう。」
声。威圧感。今まで出会ったどのモンスターよりも強い。姿は見えないけどそれが伝わる。
身構えた直後それはきた。鋭い何かをギリギリでかわしたと思ったが、一筋、細い傷が頬についていた。
「貴方がここのボス。」
振り向き対峙する。頬を拭いその姿をマジマジと見た。
姿は何処にでもいそうな普通の女性だが、全体が淡く発光し、一糸も纏っていない。背景も透過して見えており、生物とはいうには到底かけ離れていた。
ボソッ
「ステータス。」
名前 セフィラ
Lv.92
HP 9057
MP 9759
ATK 8854
DEX 9875
装備
なし
能力
4大精霊の使役
「セフィラ。それが貴方の名。」
「私の名を知っていますか。いかにも。私はセフィラ。試練を与えるもの。
先の一撃かわしたのは見事です。ですが次の攻撃はかわすことすらできませんよ?」
「それはどうでしょう?」
お互いがお互いを認識し口角が上がる。