3ー3
その者は必死に戦っていた。周りの部下が倒れようとも。自身がとうに限界を迎えていようとも。
村を、人を守る為に、、、。今できる最大限を振り絞って、、、。
隊長アブシンベルは戦う。
「でぇあぁぁ!!!!!」
ガキンッ!!!
「クソッ!!!またか!!!」
普段ならモンスターを両断するその一太刀は届かない。魔法障壁によって阻まれた。
「コイツらっ!!!」
ガキンッ!!!
「どうすれば、、、。あれは!!!」
空から降ってくる物体。その物体は戦闘地ど真ん中に着地した。
シーン、、、
戦いの音が止んだ。人も、モンスターも着地した何かを手を止め凝視する。
「あれは、、、人?」
「随分小さいが誰だ?」
「少女、、、!?」
「グオッ!?」
隊員達がざわめく。モンスター達も困惑している。
「隊員の皆さーん!!!聞いてくださーい!!!今までよく耐え抜きました。後は私に任せてください。」
隊員達は困惑している。無理もない。年端下のいかない稀有な格好の少女が任せろといっているのだから。だが今のままではジリ貧は確か。打開策もない。どうすればいいか分からない。隊員達はそこに立ち尽くすことしかできない。
そこに一声
「そこの少女!任せろといったな?本当に任せて大丈夫なのか?」
隊長アブシンベルがいち早く状況を考え、声を発した。
「はい。私は強いです。ですがあなた達を巻き込んでしまう恐れがあります。ですのでここから離れて下さい。あと私は男、、、いや今は女、、、いや、、、どっちだろう、、、。
いえ!そんなことよりも隊員達の移動を。」
「途中何か言っていたが何だったんだ?まぁいい。分かった!だが気をつけろ!コイツら見えない何かで攻撃を防いでいる!
皆の物聞けー!!!この場から退避だ!」
「「!!!。」」
兵士達はその言葉を聞くと一斉にモンスターにかけ出した。
モンスターは突然戦っていた者達が逃げ、戸惑いを隠せず何もできないまま全員の退避が終わった。
「とはいったもののどうするか、、、。」
1 周囲の建物を傷付けない。
2 人を傷付けない。
3 相手に他のことをやらせず倒す。
4 色々飛び散らないようにする。
要するに以前と変わらない景観を保ちつつ汚さないようにする、、、か、、、難しい。
「、、、、、。」
ワープさせる?いやこの場は解決できるけど問題の先延ばし。
じゃあ打撃?いやいや!時間がかかりすぎる。
となると、、、。
「アレをやってみますか。」
「大体を司る者ノームその力を私に貸して下さい。」
ノームの力で魔力で超重量の核の具現化、形成、その後圧縮、爆発を抑える為に更に圧縮を繰り返す。
そして核はすべてを飲み込む黒点となる。黒点の対象をモンスターのみに魔力でコントロールすれば、、、。
「できた、、、。」
人差し指の上に浮遊しているのは全てを飲み込む深淵。その大きさはとても小さく指先程の大きさもない。だが異様な存在の出現によりモンスターは潜在的な危機を感じ取り指先の黒点を凝視した。とても小さいが全てを飲み込む深淵はその空間から全てを切り抜いたかのように黒く、おぞましい。
人差し指先を頂点として腕を高らかに上げる。
「解放。」
シュゥゥゥゥ
その音ともいえない音に次々と吸い込まれていくモンスター達。
「上手くいきました。けれど、、、。」
けれどコントロールが難しい。早めにケリをつけないと。
モンスターは叫び声すらも黒点に呑まれて行く。
そうして瞬く間に全てのモンスターは消えた。元から何もいなかったかのように。
「ふぅ、、、。なんとかなりました。」
「貴殿、、、先程のはなんだったのだ?」
アブシンベルが口を開いたがおぼつかない。団員達は唖然としていた。
「技名ブラックスポット。効力は極小のブラックホールです。ですがまだまだ改良が必要かそうですね。」
「それ程の力、、、。何者だ?」
「通りすがりの変な格好をした子供です。」
キャピッ!!!!!
「「、、、、、。」」
駄目、、、ですか、、、。子どものあどけない表情で何とか切り抜けよう作戦。
「あ、、、あの、、、。」
「いいたくないのならそれでも良い。とにかく我々は其方のおかげで助かった。団員一同礼を言う。本当にありがとう、、、。」




