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燃える様な赤く長い髪を後ろで纏め、深淵のような深い青い目は表情が読み取れない。そこまでは良い。
頭の上のレース付きカチューシャ。丈が長く黒いロングドレス。それと相対する白のエプロン。フリルは一切ついてなく、俗にいうヴィグドリアンメイドという物だろう。
それが彼女の登場の空気をおかしなものにしていた。
最初に開口したのは彼女だった。
「我が主。ご命令を。」
「本当にイフリートですか?」
「イエス、マスター。私は4大聖霊が1つ、イフリートです。」
「その服は?」
「我がマスターの思考からこの服が最適解と判断しました。」
「つまり私の趣味、、、。」
カァァァ!!!
咄嗟に手で顔を隠す。恥ずかしい。とんでもなく恥ずかしい。何?この羞恥プレイ。確かにメイド服は可愛いけど!可愛いけどっ!今は違うでしょ!そういった空気じゃないでしょ!
C「それがイフリートか?。笑わせてくれるぜ。ただのメイドじゃねぇか。なにが「真のイフリートを。」だ。恥ずかしくて俺だったら死んでるぜ。」
「マスターを侮辱する人は何人たりとも容赦はしません。マスター、どうかあのゴミを排除するご命令を。」
C「誰がゴミだぁ!やれイフリート!あのメイドごと燃やし尽くせ!」
口から放たれるファイアブレス。それに対抗しようとこちらのイフリートが手から火を放つ。
だがファイアリザードのブレスは悲しくも一瞬で掻き消され、身体を青黒い炎が包み形も残さず絶命した。
「申し訳ありません。加減したとはいえマスターの命令を待たずに反撃をし、あまつさえ絶命させてしまいました。この罰はいかようにも。ただその前にあのゴミを処分する許可を。」
「もう!いいよ。そんなこと。私はそんな事よりも恥ずかしいの!あの男は放っておいて!」
「イエス。マスター。寛大な御心に感謝します。」
ペコリッ
C「クソ野郎どもがー。」
ダッ
「見ろこれを。こいつを殺されたく無かったらお前ら動くなよ。」
「人が恥ずかしさに身を悶えている隙に、少女を人質にして、自分は逃げる。ですか。人として最低の行為ですね。生きる価値がありません。なので死んで下さい。」
トランは呟き、手刀で何かを切り落とすかのように腕を横に振り切った。
C「何かいったか?あ〜ん?」
見えない何かが男に向かっていく。男は気づかない。
ザシュ
「あれっ?」
男の視界が反転する。まず赤い何かが飛び散っているのが見えた。次に身体が見え、赤いそれは男の頭があるべき場所から吹き出しており、その後世界は闇に閉ざされた。