2ー5
Aが少女担ぎながら喋る。
「これで俺らの任務達成ですね。それにしてもコレ、どうするんですかねぇ。」
B「どうせ売り飛ばすなり、遊んだりしてるんだろ。貴族様の考えている事なんて俺らには関係ねぇ。俺らはそれに従うだけだ。ねぇ副隊長。」
c「お前ら喋ってないでさっさと手を動かせ。」
そう言いながらcは巾着袋から1本の何かを取り出した。バイザー(頭の甲冑部分)を外し、口に咥え、先端に魔法で火を付けた。
あれは煙草!この世界にもあったんだ。欲しいぃ。分けてくれないかなぁ、あの人たち、、、いや、奪っちゃう?
相手は人攫いの現行犯、こちらはそれを助けるヒーロー。決して煙草欲しいが為に助けるわけではありません。そう自分に言い聞かせましょう。
c「よし!行くぞ」
ガサッ
「ちょっと待って下さい。あなた達、煙草を渡し、、、少女を返しなさい。そしてその腰にある袋を渡しなさい。」
A「何だぁ、こいつぅ。」
B「おい、こいつ妙な格好してるぞ!おまけに髪がびしょ濡れだ。気持ち悪りぃ。」
C「おいっ。こいつも捉えちまえ。報酬の上乗せだ!」
A、Bがこちらに歩み寄ってくる。
しまったぁぁぁ。欲求に負けてつい出て来てしまいましたっ!
こう慣れば行き当たりばったりです。
A「このガキ、話し聞いてんのか?」
B「隙だらけだし今のうちに攫うぞ。ボーナスだ。」
男Aの手が此方へ伸ばされる。しかしその手は届くことは無く、地面に倒れた。
C「いったい何が!?」
「ちょっと鳩尾をつついただけですよ。手加減できて良かったです。」
B「こいつ!ふざけるなっ!ガキが調子に乗るんじゃねぇ!」
Bが剣を抜き振り下ろす。
「まったくもう。そんな物を人に向けてはいけません。そして俺はガキではありません。」
話し終えると同時にBも崩れ落ちた。
C「貴様、、、。いいだろう。俺らを敵に回した事を後悔するがいい。」
巾着袋から石の様な物を取り出した。
「それは、魔石!」
C「よく知っているな。だが少しちがう。これはとある方からいただいたアイテム、封印石。魔石を加工し、ある物が封じられている。そしてこれに持ち主の魔力を注ぎ込むと!!!」
ピシッピシッ、、、パキーンッ
C「出でよイフリート!その業火でそいつを焼き尽くせ!」
一瞬光る。そしてそれは現れた。
赤く固そうな鱗。長い尻尾。太い4足の手足は地面にめり込み、鉤爪は黒く、口からは鋭い牙が見え隠れし、呼吸の度火を吹いている。爬虫類特有の目は此方を見据えている。
C「どうだ、今なら泣いて土下座すれば許してやらんでもないが。」
ジト〜〜。
C「何だ。その目は?全てを諦めた目か?」
あれは間違いないです。最初に出会ったモンスター、ファイアリザード!。それをこの人ゆうに事欠いてイフリート?笑いを通り越して呆れました。ここに知っている人がいたら大恥物ですよ。私は突っ込みませんけど。
「イフリートですか、、、。ならばこちらも召喚しますか。真の【イフリート】を。」
「灼熱を纏いし者イフリート、その力顕現し我に応えよ!召喚【イフリート】。」
指輪が輝く。輝いた光が形作るそれは、、、。
メイド服を着た女性だった、、、。