6:もっとがんばりましょう
結果からいうと、人形はいなかった。レベルが足りないのか、何か条件を満たしていないのかわからなかったけれど、5刻みで行くのも面倒だし次はレベル20になったら確認しよう。
普段は人の気配なんて滅多にしない裏路地で誰か人の話し声が聞こえたので、鉢合わせしないように別のルートを通って街中に出る。
裏路地にいるやつなんて、柄のよくない人(柔らかい表現)や不良か変なのしか居ないからね(偏見)。
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「……今更だけれど、まずは装備を揃えないとだよね」
表通りにある立派なレンガの建物を見上げながら呟く。確か、ここはすごく腕の良いプレイヤーの人が装備を作ってくれるらしい。
「……すごいな」
三階建てくらいの建物はすごくおしゃれで、一階にあるショーウィンドウには綺麗な服が行儀良く並べられている。プレイヤーもわんさか店の中に入っていく。
「……うぇっ」
常にボッチだったからか、人混みを想像してえずいた。……やばい。このままだったらゲームの中でも人と関わらなくなってボッチ確定しちゃう。
「…………まあ、素材も持ってないし」
平な胸を押さえて、息を整える。
そういえば自分は今、男の姿だった。骨格はあまり変わっていないみたいだけれど。
攻略サイトとかでも見て、良さそうな装備でも確認しておこうかなぁ。
「……ちょっと離席……っと」
滅多に人が来ないような街の端っこの裏路地に座り込み、一旦離席する。
そして、筋力がないとまともに武器も防具も持てない事を知り投げやりになった私は、拾った素材を全部NPC に売りつけてお金に変えてやったのだった。
後悔はしていない。……多分。
「はぁ……。とりあえず、レベル20になるまでひたすらモンスター狩るかな。あとはNPCのクエストこなして……」
と、これからの計画を練ることにした。