48:弟子入りだよ!!(師匠を探せ!!)
初めの刺客の襲来から、何人もの刺客を呪詛返しで打ち砕いた。
しかし、要はただ殺されてそれにカウンターを返しただけなので、なんとも言えない。
13回連続で殺されたらたまらなかっただろうけれど、と思いながら私は始まりの街でNPCを探していた。
『“弟子入り”……ですか?』
「そう。なんだか特殊なアーツとか学べるんだって聞いてね」
私の武器は楽器だから、まずは楽器のアーツを学べたらいいんだけれど。
「……どこにいるんだろうねぇ」
『わたしも知りませんよ?』
クニークルスは小首を傾げ、私を見上げる。
「だよねぇ。……おや」
どうしようかな、と途方にくれていると突然、どこからともなく軽快な音楽が聞こえてきた。
『ときどき広場で起こる、意味不明な催し物ですかねー?』
とあまり気にせずにクニークルスは言う。意味不明って結構辛辣なことを……。
広場では、ゲーム自体に直接的な影響は与えないであろう、NPCによる小さな市場や催し物が時折行われている。
市場では時折、珍しいアイテムを購入できるらしいが、基本は商人が売っているアイテムを比較的安価で買える程度の認識だ。
そして、それのついでに見せ物芸をするNPCもどこからともなくやってくるのだ。いわゆる、旅芸人みたいなものだろう。
「……とりあえず、見に行ってみようか」
なんとなく引っかかりを覚えたので音の出どころまで向かった。
×
「「寄ってらっしゃい、見てらっしゃい! 面白い人形劇の始まりだよー!!」」
そこへ向かうと、兎の仮面と鶏の仮面を被った二人のNPCが、客の呼び寄せを行っていた。なんとなく自分みたいに派手な道化師のような格好をしていて、でも色彩がポップなパステルカラーだ。
モチーフはイースターなのかな、なんて思いながら、二人のNPCを観察してみる。
鶏の仮面のNPCは楽器を抱えており、兎の仮面のNPCは人形を抱えている。
「……もしかして、」
その見せ物の周辺には見物客であろうNPCが数名待っているので、話しかけるのは劇が終わってからにしよう。
「「さぁさぁ。これより始まりますは、そう! 『とある遊園地のお話』で、ございまーす」」
×
「「――と、これで物語はおしまい。 めでたしめでたし」」
人形劇が終わると、周囲のNPC達が拍手喝采を行い、お金を二人のNPCに渡していた。
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・人形劇を観覧しました。NPC達にお金を払いましょう。
渡す金額:『』
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NPC達の様子を眺めていると、私の目の前にそんなウィンドウが現れた。
「……まあ、彼らにとってはこれが商売だもんなぁ」
内容も面白くて悪くはなかったし、面白かったから気まぐれで手持ちの全額送ってみようかな。
「「……っ!!」」
二人の仮面のNPCはそれに驚いた様子を見せ、二人でこそこそと何かを話しあった後、
「「……!!」」
と、私に2枚のチケットを手渡し、さっさと居なくなってしまった。
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・交渉成立! アナタは太陽流師範・金烏、太陰流師範・玉兎の弟子となりました!
ただしお金によって交渉したため、好感度は微妙です。
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「……えっ?」
あれ鶏だったけど金烏なの?
『……気になるところ、そちらなんですか?』