44:便利だが性格に難あり
始まりの街に戻りました。
前回のバトルロイヤルと同様に、ギルド戦の様子の一部が広場に映し出されているけれど、それを見ずに私達は適当な売店で食べ物を買い、沸き立つ歓声をBGMにそれを食べる。
「……君ってすごい便利だね」
もくもくとサンドイッチらしきものを口いっぱいに頬張るクニークルスに、思わずそうこぼした。
『ほうへひょう!』
嬉しそうに足をぱたぱたさせながら、クニークルスは頷く。
ボスモンスターだったからか、元からのステータスも随分と高かったけれど、特に、【禁じられた戯曲】の共鳴がね!
どうやら、そのスキルの『同じ条件』ってのは『同じスキルを持っていること』『同じ装備であること』『同じメイン職業であること』などのことらしい。
それをクニークルスから聞いた直後はそんなやつそういるかよと思わず突っ込んでしまった。だけれど、
『だからこその、道化のドッペルなのですよ!』
と、スキルの話をした際に、クニークルスは息も荒く食い気味に私に言った。
『道化のドッペル』は『持ち主の生き写し』なので、持っているスキルや衣装、メインの職業などの同じ条件を見事にクリアしてくれるのだそう。
装備やスキルは私と同じだけれど、ステータスの値は彼女の魂のまま。
装備の条件は持ち主である私でクリアしているので、魔力値極振り出なくとも同じ装備が着られる、ということらしい。
「……本当に便利だねぇ」
そう、しみじみとしていると、
『えへ♡ これでご主人様も、わたしなしじゃあ生きられなくなります?』
と、嬉々として聞いてくるので、ちょっとスンッとなった。