43:いつのまにか
面倒……こほん。寂しがり屋な亡霊との遊園地巡りを終え、私達は夢幻の跡地を後にする。
元々の推奨レベルが結構高かったからか、結構たくさんの経験値とアイテムを回収することができた。
本当はスキルを使って街まで飛んでいこうかと思ったのだけれど、セカンドジョブの人形使いの使い心地を確かめるためにも、歩いて始まりの街まで戻ろうと思ったのだ。
「一緒に連れて行けるのは良いのだけれど、アップデートで消されるんなら私と一緒にいても結局は消されるんじゃない?」
『そこは大丈夫ですっ! わたしはもうご主人様のモノな・の・で♡』
「とりあえず、単刀直入に言うと?」
『もうっ! もう少し楽しんでもいいじゃないですかっ!』
もじもじするクニークルスに話を催促すると、少しいじけながら、
『わたしの大元である、要するに今喋っている“クニークルス”のデータを、ご主人様のデータ記録の中に埋め込んじゃいました♡』
そう、嬉しそうに答えてくれた。
『なので、ラッキーバニーは消えちゃっても、“クニークルス”は消えませんよ♡』
「……なるほどねぇ」
…………データ改変とかで垢BANされないよね?
垢BANされたらどう責任取ってくれるんだろう……。
『あなたの装備も含めて、削除されないように手を加えますので安心して下さいっ♡』と、クニークルスは言うけれども、私には不安しか与えてくれなかった。