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41:ところで


 戦闘が終わり、ボスモンスターを倒したからか随分と静かになった夢幻の跡地を、私と人形の彼女とで歩いて周っている。

 あ、元からこのダンジョンは静かだったな。


「中ボスと一切戦ってないのに、君が出てきちゃったのなんで?」


 私は自分の後を付いて歩く『ラッキーバニー』の魂を持った『道化のドッペル』に話しかける。

 どうやら禁じられた人形の進化は、生贄にしたモンスターの魂を人形に入れる、というとんでも仕様だった。

 でもそのおかげで人形が自立して動いてくれるようだ。


『パレードの招待状をお持ちだったからですっ!』


 で、ラッキーバニー自身は『ただあの形の入れ物に入っていただけで特に外側に未練はありませんっ!』と言っていたので、色々とオールオッケーらしい。


「そっかー……」


 しかし、一日かけて遊園地内を走り回った意味ね……。

 まあ、驚異的な跳躍力のスキルもらったから良いのだけれどさ。


「じゃあ、ついでで聞くけれど。楽譜を探す隠しクエストって結局はなんだったの?」


 がっつりクリアしたけれど、本当によくわからないクエストだったなぁと思ったんだよね。

 なんだか噂でこのゲームにはクトゥルフ神話が関係するっぽいことが攻略サイトや考察サイトで行われてたっぽいけれど、このクエストなんか関係あった?


『隠しクエストの、隠された楽譜達! は、ラッキーバニー(わたし)と夢幻の跡地を最速で攻略するために作られたクエストのなのですっ!』


 えっへん! と胸を張った後、『……でもまあ、アップデートで多分、修正されると思うんですが……』と、少し項垂れる。


「へぇ」


『なんだか対応が冷たくないですか?!』


「まあ。意味のわからない仕様だし、最初のマンドリンで大体の人は落ちると思うし」


 あと、この服の必要魔力値とかぶっ壊れてますからね。


『むぅ……』


 私の返答に不満があるようで、彼女は口を尖らせた。


『……ところで、ご主人様(マスター)


 と、ラッキーバニーin道化のドッペルは私を見上げる。私の女の子バージョンのような恰好をしているのでその顔は仮面で覆われている。

 その恰好に『えへへー、ご主人様(マスター)とおそろいですっ!』と、人形の進化が終わった直後にそう喜んでいた。

 良いの? すっごい奇抜で変な格好だけれど。


「なにかな?」


『わたしに、お名前付けて下さいよー!!』


 ぷん! と、うさぎの着ぐるみ姿の時と同じように腰に手を当て怒る。


「うーん、じゃあ『クニークルス』、ね」


 ラテン語でうさぎ。


『そんなにあっさり付けられるのもなんかいやです……』


 クニークルスは、しょんぼりとうさ耳をしょげて全身で『がっかりしてます』アピールをする。


「分かりやすくて良いじゃないか」


『むー……』


 ご不満ならば『トルネンブラ』にでもする? 多分本質的には(多分)近いよね。姿は無いし、音楽で私を呼び寄せたし。

 同じ言語で意味が単純なのもお揃いだと教えると『ご主人様とお揃い! ならそれでいいですっ!!』と、あっさり納得したので現金なやつです。


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