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３０：ようやく入場

　視界が元に戻ると、ゲートの奥に見えたものと同じ風景が、更にはっきりと大きく見えた。

　薄暗い廃墟の遊園地には、ジェットコースター、観覧車、メリーゴーランド、サーカステント……等、ポップに飾られていたであろう色々な乗り物や建物達が並んでいる。

「……」

　視線だけを動かして周囲を見渡す。今、私のすぐ近くにはモンスターはいないようだ。

『そうでしたっ！　今のところ、まだフィールド内にはモンスターが居ないと思いますが、ゲームをクリアしていくとどんどんフィールド上に出てくるモンスタが増えますよ♡』

　腕輪からそんな声が聞こえた。

「……なるほどね」

『順路通りに回れば、中ボスモンスターも徐々に強くなりますので、戦いやすいと思いますよー』

　なんて、いうアドバイスもついでにしてくれた。

　そのあとの『きゃっ！　わたしってばなんて親切なんでしょうっ！』というはしゃいだ声はそのまま放置。

　つまり、中ボスを倒さなければ、この遊園地の隅々まで探索出来るってわけね！

『えっ？！　ちょっと！？』

　腕輪の焦る声をそのままに、私は順路とは逆方向に走り出した！