29:夢幻の跡地(入場ゲート前)(動かない)
で。
『仮にそんな能力を持っていたとしても普通、あの流れで外に出ちゃダメじゃないですかっ!』
ぷん! っといった感じで両手を腰に当てたうさぎの着ぐるみに十分くらいのお説教を食らいました。
嬉しがったり泣いたり怒ったり。感情がくるくると変わって元気だなぁと少し聞き流していたら
『もうっ! わたしのお話、ちゃんと聞いてますかっ?!』
と、顔をもふもふの手で挟まれた。
お説教が終わると、この遊園地の大まかな構造や特殊なルール、遊び方を教えてもらった。
大まかにいうと、この『夢幻の跡地』には中ボスモンスターが数体おり、それらをそれぞれ決まったルールに則って倒さないといけない。
そして中ボスをみんな倒せば、ボスモンスターが現れそれを倒す事によってダンジョンクリア、ということらしい。
ちなみに、この先はダンジョン内なので普通に敵モンスターも、うようよとたくさん居る。
「えぇ……攻撃当てれば勝てるわけじゃないの?」
『最終的にはそうですけれど、それじゃあつまらないでしょう?』
ね? と、ニコニコ上機嫌に戻ったうさぎの着ぐるみは同意を求めるように小首を傾げる。
『で・す・よ・ね?』
「……ハイ、ソーデスネ」
圧がひどい。
×
『……というわけで、』
ニコニコ笑顔なうさぎの着ぐるみは私の背に手を置くと、
『いってらっしゃいませーっ! 楽しい夢幻ライフを!』
「っ、」
とん、(というかドンッて感じ)とゲートの向こう側へと押し出し、私の視界は真っ白に塗り潰されていった――。




