24:宣戦布告と魔王城創設記
ゲーム開始から八日目。なんだか周りが騒がしい。「おい、面白そうなチャンネルがあるぞ」「早速動画回すんだな」「おれもやってみようかな」と、そんな声が聞こえる。
聞こえる内容を要約すると、『プレイヤーキルチャンネル』ってところで魔王様を奇襲する動画が流れるらしい。
「んー……。あんまりPKとかみたいわけじゃないのだけれど……」
相手が魔王様となるならば、興味の方が勝った。
いつも通り、街の端も端っこの誰も来ないような裏路地に座り『プレイヤーキルチャンネル』とやらを視聴する。
×
「……ふふっ」
面白くて笑いが溢れた。
初めは「弱体化を食らった上で大人数での奇襲はさすがにやばいのかな」って思っていたが、どうやら杞憂だったらしい。(何様って感じだけれど。)
恐らく前回のバトルイベントで得たアイテムやスキルを利用しているのかもしれないけど、あれは運営が思い描いていた使い方じゃないと思うんだ。
背後から召喚陣を生み出して武器を放出するって、かっこいい!
……まあ、放った矢でプレイヤーキラー達の身体を四方八方に飛び散らせるのはちょっと残酷だな、とは思った。
『見てるか運営、そして俺が無力になったと思っているプレイヤーども。
アップデートの結果、俺はこの通り強くなったぞ……! 俺は何度だって蘇り、何度だってトップの座を掴み続けてやる。だからお前ら、喧嘩を売るのなら覚悟しておけよ……!』
その言葉を最後に、動画が切れた。
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「……で、その次は脱獄かぁ」
魔王様がアップデートで追加された城塞都市『ヘルヘイム』を制圧していく動画を見て呟く。
NPCのサモナー達を鼓舞するその姿、どんな逆境にも屈せず立ち上がるその姿は、正に勇者のようだと感嘆の息を吐く。
所業は魔王だけれど。