15:地獄を見る
「…………」
広場で、呆然と画面を見上げていた。
「なにあれ」
地獄である。
可愛いくて綺麗なアバターのプレイヤーに一瞬、目を奪われたその時。
画面向こうの世界が大きく揺れ、割れて盛り上がる地面からドラゴンと花が融合したような巨大な植物モンスターが現れた。
『グガァアアアアアアーーーーーーーーーーーッ!』
咆哮を上げ出現したモンスターが、背中から大きなそして美しい華を七つ咲かせる。
花弁がゆっくりと輝きだし、その輝きが更に強まった瞬間。
周囲が火の海になった。
「………………なにあれ」
同じセリフをこぼす。飲んでいたジュースが空っぽになっていたけれど、それが気にならないほどに、画面に釘付けになっていた。
×
そのあとは真っ赤な巨鳥やゴブリンキング、巨大な狼がプレイヤー達を蹂躙し、
『「俺の名はユーリ。お前たちが最弱と見なした『サモナー』で、『弓使い』で、ついでに『幸運値極振り』のプレイヤーだ!
そして……今からお前たちを全滅させる者だーーーーーーッ!」』
そのモンスター達の主らしいプレイヤーの宣言で超大量のモンスター達が魔法陣から溢れ出すなどで、イベントが大変な事(柔らかい表現)になった。
「……」
天に向かって手をかかげ、その背後から巨大な魔法陣を出現させたそのプレイヤーの姿は魔王のようだったけれど。
「……面白いな」
呟きつつも、参加しないでよかったと心の底から思ったのだった。
5話ずつでの更新を予定中。