14:バトルロイヤル、不参加!
ゲーム開始から五日目。確か、今日はイベントがあるとお知らせにあったはずなのでとりあえずどんなものか見ようと、ログインした。
……だが。
「あれ、誰もいない」
普段は人で溢れているはずの始まりの街が、すっかり伽藍堂になっていた。
「……ん?」
涼しい風と鳥の鳴き声が聞こえる。
「確か、開始時間が十時……あ」
時間を確認してみると、一分過ぎてた。
『五分前行動が大事』って言われるやつの大事さを味わった気分。
でも、『○分前に行動しろ』っていう割に、時間の延びにはルーズだよね。締め切りにも厳しいのにさ。
『さぁ、いよいよ始まりましたバトルイベントッ!実況はこのわたくし、プレイヤーナビゲート妖精のナビィが務めさせていただきまーす! プレイヤーのみなさーん、キャラエディットぶりでーす!』
不意に大空から響き渡った声に周囲を見回すと、広場の辺りに、大きな映像が映し出されていた。
多分、イベントの様子を不参加のプレイヤー達にも見てもらえるようにの工夫なんだろう。
見える限り、ステージは始まりの街を模したものだけれど、空が赤かった。
「……世紀末みたいだなぁ」
呟きながら、そこの露店で売っていたジュースに口をつけた。
「ん! 美味しい!」
VRだってのに、すごいなぁ。レモンとグレープとキウイを混ぜ合わせたような味だ。割と酸っぱいのは好きだから、結構良い当たりだ。
「……でも、ベリー系の方がもっと好きです」
酸っぱいやつ口に入れると、無性に水が飲みたくなっちゃうんだよね。
ベリー系は風味が良いんだよ。大人っぽい感じがして。