『ユアライト』
『ユアライト』
㈠
「本当に必要なものって、何なんやろな」
上空に向かって、そう呟いた、ある日の午後である。本当に必要なものが、見つからなかった人は、一体何処へ行くのだろう。何処を旅するだろう。自分が正しい光だと、知るのは、恐らく、他者が、
「自分にとって、君は光だ」
と言った時なんだろうと、ふと、思った。昔、同級生から、nirvanaの音楽を教えて貰った。その時は、まだ、みんな駆け出しの時で、あらゆるものが、光って見えていた。渇望していた。金が欲しかった。ただ、金のために働いた、昼夜逆転するまで働いて、授業中は机で伏せ寝しながら、耳だけで聞き取った授業の内容で、試験に勝負していた。
「君は罪を知っているか」
と、問われたら、恐らく自分は、分からないというだろう。いつだって、考えて人を傷付けたことなんてなかった、自然の成り行きで、約束を破っていた。