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異世界起業!ギルドユニコーン(株)  作者: かすてらうまみ、えす(仮)共著
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2。ぼやけた世界から始めよう

俺はいつの間にかゆりかごにいた。

(ここはどこだ。)

声を出そうとするが、言葉にすることができない。

あと何だ。視界に見える赤ん坊のような手は。

異世界転生のお約束か。赤ん坊から始まるなんて退屈すぎる。

どうしようとも何も思い浮かばない。

使命というものだろうか。反省してこの世界でやりなおそうとも思わない。

大きくなったら才能が開花したりするのかな。

魔王との戦いに巻き込まれたりするんだろうか。


生まれ変わったら猫になりたいと願っていたのに人間なんて。

そこらへんはくみ取ってくれなかったんだろうか。

猫が良かったな。やってられない。


「あらあら。ごめなさいね。洗濯してたものだから。」

大きな手が身体をゆりかごから拾いあげる。

暖かい感触。優しい匂い。やすらぐし落ち着く。

「寂しかったのね。ごめんね。」

この言葉からするに母親なんだろうか。

おれを生んでくれた。声の持ち主は布で私を包み、背中に背負った。

「いまからね。町に野菜を売りに行くのよ。」

赤子連れで野菜を売る。大変だ。いや大変を強いているのはおれが原因か。

父親はどこにいるんだ。先に街にいっての場所とりだろうか。

商売は場所によるからな。駅前や商店街の中に店を構えるだけで売り上げは違う。

もしくは野菜を売るってんだから畑にでもいるんだろ。

外仕事は大変だからな。力仕事でもあるし。

前世では会社員だったから農業がいまいち想像できない。

土に触れば元気がでますよとは聞くけれど、もともとの体力がおっつかない。


あれこれ考えていると街につく。

入口の門番がこちらをみる。

「大変だねぇ。奥さん。また野菜売りかい。」

何かいいたそうな口ぶりだ。

社交辞令はアホほど聞いてきたから、だいたいわかる。

大変だねといいながら、心配はするのだ。

要は思いやりのある自分ステキって感じたいのだろう。

感動を食い物にするやつらがいる。

人の苦労がエンターテイメントなんて、暇なんだろう。

泣きわめいてやろうか。赤ん坊にできるて抵抗なんてこのくらいだ。


「おぎゃあ。おぎゃあ。おぎゃあ。」

これでもかといわんばかりに声を出す。

「ほら。恐がらないでね。この街を守ってくれてる人なのよ。」

優しい声で説明してくれる。

世間知らずというか、言葉の裏にあるものを読み取れないのだろうか。

おれの母は人が良すぎるのではないかと心配になる。

「おっと。嫌われちまったかな。それで奥さん、あの話はどうするんだい。」

「お断りします。」

母の空気が変わった。あの話とはなんだ。よほど嫌な話なんだろうか。

「もったいないね。」

母は足早にその場を過ぎ去る。


広場の中心にいくと、場所取りをしているであろう父親の姿はない。

だったら畑にいるに違いない。

畑仕事は父がやり、母は街に行商に出かける。良い働き方だ。

母親が広場につくと老婆が声をかけてきた。

「いつもすいません。場所代です。」

母は礼をいい、硬貨を差し出す。

場所代がいるのか。そうだろうな。無料で店を構えられない。

「さぁ。もうちょっと歩こうね。」

広場から少し離れたところで、母が布を広げる。

中心とは程遠い離れたところだ。これは場所代がいるのだろうか。

「野菜はいりませんか。」

物凄い声量だ。声が一面に広がる。

この立地ゆえに声を出すしか方法がない。

不思議なことにポツポツと買い物客が尋ねてくる。

常連らしく笑顔で会話している母の姿を背中で感じた。

数時間たっただろうか。野菜はみるみる売れていった。

マッチ売りの少女のような光景はなかった。


しばらくすると護衛つきの一人の男がやってきた。

「今日も繁盛してるね。」

「おかげさまで。」

母は不愛想に答えた。なんだ。またこの雰囲気だ。

「話の答えは変わらないのか。」

門番がいってたことか。それともまた違う話か。

「あの土地は土壌が豊かだからね。言い値で構わないよ。」

「主人の土地でもあります。売りません。」

父は農場にいるのか。自宅に帰れば父の顔をおがめるだろう。

おがめるといっても赤ん坊の視力だからぼやけてうつり、声だけしか聞こえないだろうが。


男との話を終えると帰り支度をすませ、帰路につく。

これを仕事にしているのか。内勤が多かったから、想像がつかない。

「じゃあ今日の報告をお父さんにしなきゃね。」

しばらく歩き家に近づくと、少し外れた方向に歩き出した。

離れた所に農場があるんだな。農場は広ければ利益があがりそうだしな。

「はい。ついたよ。手を合わせて報告しましょうね。」

何のことだ。

「今日も見守っていてくれてありがとうございました。」

手を合わせる。見守る。全然話が見えない。

視力がないのがもどかしい。どうなっているんだ。

タイトルに関しては共著相手の感性をくみ取る形にしました。

2人で小説を書くのは初めてですが、面白いことになりそうです。

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