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異世界起業!ギルドユニコーン(株)  作者: かすてらうまみ、えす(仮)共著
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1。勝手に世界を創造しとくよ

男は会社員。

仕事をするために、生きるのか。

生きるために仕事をするのか。

足取りも重く今日も電車に乗る。

満員電車はいつものこと。

慣れた様子で、手すりに摑まる。

人に挟まれないように、壁際。

ここがいつもの場所。


会社の最寄り駅はX駅。何も考えず、会社に向かう。

まるでロボットだ。

入社の頃は誰よりも頑張ろうといきまいていた。

理想と現実はかけ離れていた。

意気込みが空回りしている日々が続き、いつしか仕事に情熱が持てなくなった。

転職する勇気はない。給料分働いていればよいと思いなおしたのだ。


ネット上では誰かが脱サラしてベンチャー企業を立ち上げた。

華々しいニュースが飛び込んでくる。嫉妬したところで何も変わらない

今から努力したところで何かができるわけではない。

自慢できるようなスキルは何一つない。

ちなみに結婚はしていない。

誰がこんな人間を自暴自棄のかたまりを愛してくれるのだ。


横断歩道を渡れば会社が見える。

またつまらない日がはじまる。

足を踏み出したとき、何かが横切った。

猫だ。飼い猫だろうか。道に迷ったのか。

キョロキョロしながら当たりを見回している。


猫はいい。自由でなにからも縛られなくて。

面倒な人間関係もないし、時間に縛られることもない。

次に生まれ変わるなら猫がいい。


すると猫が赤信号だというのに道路に飛び出した。

このままだと轢かれる。とっさに身体が動いた。

車にぶつかろうが、死ぬことはないだろう。

猫が無残な姿になるよりずっといい。

何か得するわけではないのだけど、

自分より弱いものを損得で切り捨てるなんて考えられない。


身体中が熱くなる。次に激しい痛みが全身に広がる。

あちこちがうずき、血が流れ出る。

ぼやける意識のなかで、誰かが救急車を呼ぼうと叫んでいる。

もうろうとしながら頭は冷静だった。

失敗したな。これは助からないだろう。

人生はあっけなく終わるが定型句かもしれないが、

仕事をするために生きていたから、悔いはない。

むしろやっと解放されるとスッキリしている。

走馬灯が流れるわけでもなく、誰かの顔を思い出すわけでもない。


ゆっくりと、ゆっくりと感覚がなくなる。

痛み、周りの声が薄れていく。解放されるようで心地が良い。

囁き声が聞こえてきた。猫が私の顔を舐めている。


力が抜けていくととも身体が宙に浮かんでいく。

これがあの世に行くってことなんだろうな。

天国にいけるといいな。

生き地獄の毎日だったから、天国にいくぐらいのご褒美があってもいいはずだ。



今度は囁き声ではなくハッキリと人の声が聞こえた。


「起きなさい。人間。」


ここが天国かと思い、身体を起こす。先ほどの傷や痛みはなくなっていた。

周りを見渡すと真っ白い空間に椅子とテーブルが置いてある。

椅子には女性が腰かけていた。

髪は銀色。羽衣のようなものを身に纏っている。


「立ち尽くしていないで、こちらに座りなさい。」


天国は行ったことがないので、勝手がよくわからない。

ひとまず女性の言う通りにする。

椅子に座ると、顔がハッキリ見えた。まるで女神のようだ。


「女神ではないのですが、この姿が受け入れられるのですよ。」


あれ。声に出してしまったか。


「違いますよ。全てが伝わる空間なのです。」


いったいどうしたんだ。


「少々困惑しておられますね。それでは説明いたします。」


ここから色々と説明を受けた。

私の人生は10年後に劇的に変わる運命であった。

これが利他的な行いで、帳尻合わせができなくなった。

そしてこの帳尻合わせのために、違う世界で生きてはどうかということだった。

にわかには信じがたいが、これは森羅万象を司るものからの贈り物らしい。

これから違う世界で生まれ変わる。

そして何か1つおまけがつくらしい。才能ということだった。


「才能は何にしますか。」


「理不尽に決められたりするのが一般的な展開じゃないの。」


「でしたら海に呪われる能力にしますか。」


「理不尽過ぎるだろ。むしろ代償じゃねぇか。ゴム人間になる代償。」


「少年漫画が好きかとばかり。」


「デメリットのみを切りだしてるでしょうよ。」


「ごめんなさい。では両利きになれる能力にしますか。」


「そうだね。スキルってそんなもんだよね。ってバカかよ。二刀流のスキルならまだしも

両利きって普通の一般人じゃねえか。真剣に考えてくれよ。」


「困りましたね。注文が多いですわ。私、食べられてしまうのかしら。」


「宮沢賢治かよ。食べねえよ。猫じゃねえし。むしろ猫助けたし。」


「なんかおれらしい能力ってないのかよ。」


「そうですね。では・・・。」


身体が急に光に包まれる。


「え。なにこれ。」


「転生する準備が整ったんですね。もうすぐ生まれ変われますよ。」


「ちょ待てよ。早く能力の説明しろよ。現状説明は後回しだろ。緊急性と重要性のマトリクスわかってないのかよ。」


「浮世離れしているんですよ。神ですから。あなたの能力は・・・。」


突っ込んでしまおうという瞬間、目の前が真っ白になる。フワフワとした感覚が身を包む。


(これもしかして、説明なしで異世界に転生するの。なんて不親切な展開だ。転生モノでもこんな扱いなのか。)


「丁寧に説明するのが転生モノのセオリーなんですよ」


(話聞いてねぇし。余韻があったのに、自分のことしか喋ってねぇ。異世界に転生するのに先が思いやられる。先行きなんてみえたためしがねぇけどな。)


この話は大阪に住んでいる方(ペンネームはちょっと待ってくれと供述)と共著です。

先が見えない世の中、長崎と大阪で何かできないかを考え、執筆しました。

書籍化されたら、純利益折半です。

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