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EDIF【エディ】  作者: つながる
4/6

投げろ

「いってぇえええ!!!」

襲い掛かってきたのは体長1メートルほどある黒い気のを纏った獣型の魔物だった。

魔物はリアを庇ったフィルに噛み付いたが、リアは咄嗟に木の枝を叩きつけてフィルと魔物を引き離した。

「フィル!大丈夫!?今のうちに逃げるよ!」


「酷い出血…早く止血しないと…フィル、ちょっとだけ我慢しててね。このまま走って逃げればきっとまた森が動いて魔物を撒けるはず…」

「……いや、たぶんそれは無理だと思う。俺達はあの黒いコートの男に見付からないようにもう一度草むらに隠れていた。つまりあいつは目じゃなく鼻で獲物を嗅ぎ付けたんだ」

「…何度逃げても見つかるって事ね」


「……何で魔物がこの森に」

いや、それは今考えるべき事じゃない。フィルは頭を切り替えた。今必要なのはあの魔物から生き延びる事!

「何か手掛かりは……っ!」

そういえば、さっきのコートの男…俺が薬草を引き抜いた木の側でしゃがんでいた…何か探しているのかもと思ってたけど…もしかしたら……


「考えがある!姉ちゃんはそのまま逃げて!」

「えっ!?ちょっと!!」

フィルは進路を変え魔物の前に飛び出した。

「こっちだ!」

フィルが魔物に石を当てて挑発すると、魔物は迷わずフィルに向かって突っ込んできた。


やっぱり…二手に別れたら手負いを狙う。魔物といっても所詮は獣と変わらないじゃないか…

でも問題はここから…お願いだ、何かあってくれ!

フィルは願いながら走り薬草を抜いた場所に向かった。


「あった!……これは…青白い氷石が三つと…紙?」

紙の裏側にはメモが残されていた。

『投げろ』

「…それだけ?」

しかし考える暇など無く魔物はフィルに向かってきた。

「くそっこうなりゃやけだ!何か起きてくれ!!」

叫びながら魔物を目掛けて投げた氷石だが、それが魔物に当たる事はなかった。避けられてしまったのである。

「なっ!?」


終わった…フィルがそう思った瞬間、氷石は光り周囲を青白い爆発で包み込んだ。

そして衝撃が収まると、爆発が起きた場所にあった草木は全て凍りついていた。


「…すげぇ」

爆発からは避けきれなかった魔物も、後ろの片脚が凍って動けなくなっている。

やっぱりあのコートの男は敵じゃなかった。

きっとこの魔物を追ってたんだ。だけど動く森のせいで迷い、そして俺達の痕跡を見付けた。でも自力でこの森で人を探すのは困難だと考えたコートの男は、せめてもの思いで魔物に対抗出来る手段を残してくれたんだ。


「まさかこんなとんでもないアイテムだとは思わなかったけど……それより溶ける前に残りの氷石でしっかり凍らせなきゃ」

フィルが残り2つの氷石を拾って振り返ると、魔物は既にそこにいなかった。

「そんな…!?まさかあいつ……」

魔物は凍り付いた脚を引きちぎり姿を眩ませていた。


……魔物の存在は知っていたけど、まさかこんなに知能が高いなんて…

脚をちぎって逃げるにしても、こっちが目を離した瞬間を狙って姿を隠した。

それに一回目に投げた普通の石ころは直撃したのに、今回は避けられた。きっと次は爆発の範囲外まで逃げられる……真正面から投げても意味がない。

何とかして隙を作らないと…

爆発の範囲はおよそ3メートル…

氷石は…後2つ。

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