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BioGraphyOnline!  作者: ツリー
第3章 うたかたのゆめ
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第七十七話 ゆめのはじまり(第三章第一話) 友人の家に潜入したら寝ぼけた友人が俺を布団に・・・

 

「こちらスネーク、現在目標の部屋の前に到着」


 室外洗濯機の影からこんにちは、自称BGO最強の頭脳アズこと青葉大和です。

 夏休みも終わり明日から学校が始まるという日、俺は友人の家に忍び込みに来ています。


「いいかいスネーク、これは潜入ミッションだ」


 誰に言うでもなく、トランシーバーを持ったふりをしながら小声で囁き、洗濯機の影から顔を覗かせる。

 視線の先では、フーキの隣部屋を借りているであろう男が何やらバタバタしているのが見える。


 まぁぶっちゃけ堂々とフーキの部屋に入れば良いだけの話なのだが、奴がロリコンだという事は俺の中で周知の事実。

 恐らく隣人にも知れ渡ってるだろうし、小学生ボディになった俺がフーキの部屋に入れば通報待った無しだろう。


 俺は友人思いだからな、フーキをそんな自体に陥らせる訳にはいかない。

 ちなみに鍵は既に入手している。

 何やかんやで昔馴染みだからな、洗濯機の裏に鍵を張り付けてるのは知っている。


「しかしどうしたものか・・・」


 部屋の前でバタバタしている男は一考に動く気配がない。

 それどころかスマホで何処かに連絡をいれると、「ふぅ・・・今日は遅刻だな」とか言いながら玄関先でタバコを吸いだしてしまった。

 要約すると動きそうにない。


「これは・・・おびき出してCQCで気絶させるか?」


 俺は洗濯機に張り付きながら、洗濯機をコンコンと軽く叩く。

 男は音に気付いてこちらに視線を向ける。

 

 あとは近寄ってきた所をゲームレベル10(力18)で軽く手刀を・・・


『またネズミが運動会してんのかよ・・・帰りにネズミ取りでも買ってくるか』


 なんでやねん!

 というか、え?何?ここってそんな日常的に野良ネズミがPOPしてくんの?


 俺は若干青くなりながらも次の策を考える。


 よくよく考えたら力18って現実世界ではかなり強いってだけだし、気絶させられる自信がない。

 ならば精霊の力を使って・・・


 近くを漂うよくわからない黄色い精霊をキャッチ、適当に男に投げつける。

 男には見えていないそれは男に当たった瞬間破裂、バチッと青い電流のような物を発生させ男が泡を吹きながら倒れてしまった。


「・・・」


 無言で男の脈と呼吸を確かめる。

 少し速いが正常に脈は動いているし、胸も上下してるから呼吸が止まっている事もない。


「セーフ」


 危なかった、危うく現実世界で人殺しをしてしまう所だった・・・まぁ彼は仕事に更に遅れて社会的な死が待ってるかもしれんが。

 兎に角あまり一般人に向こうの世界のスキルなりアーツは使わない方がよさそうだ。


 深く息を吐きながらも扉に鍵を挿入、ガチャッという音とともに扉が開く。


「おじゃましま・・・くっさ!?」


 部屋を開けた瞬間に漂ってくるフーキ臭に思わず顔を顰める。

 ゴミと男の汗の混ざったこの匂いは俺にはちょっと・・・いや、かなりキツイ。 

 よく見ればゴミ袋が2ー3個そのまま放置され、取り込んだ洗濯物がその辺に放られている。

 

 匂いの元が多すぎる・・・!

 

 顔を顰めたまま部屋をのぞくと、フーキが布団の中でスヤスヤ眠っているのを発見する。


「こいつ学校とかじゃそんな匂わないのになんでこんな臭いんだ?」


 気持ちよさそうに眠るフーキの枕元には、BGOをする為のヘッドギアがそのまま置かれている。

 恐らくここが定位置なのだろう、踏んで壊しても俺は知らんぞ?


 一通りフーキのほっぺたをツンツンつついて遊び終えた俺は、目的の物を探す。

 出来れば匂いが服まで染み付いてなければ良いが、いざとなったら洗剤特盛の大和特別洗濯フルコースを使わせてもらうとしよう。


 部屋の中をグルリと確認、三段ボックスを見つける・・・というか収納できる物がそれと備え付けの押し入れぐらいしかない。


 ワクワクと三段ボックスの棚を引き出す、これは・・・フーキの制服か?

 夏休みの間見てなかったから凄く久しぶりな気がする。


「ふーむ」


 俺は適当にキョロキョロ周りを見回し、制服を顔に近づける。

 スンスン

 

「臭くは・・・無いな、若干フーキ臭いが許容範囲内だ」


 これなら子供服の方も安心かもしれない。

 しかし妙に恥ずかしい気持ちになるのはなんでだろう?


 気を取り直して二段目三段目、押し入れを確認していく。

 ちなみに結構デカい音をたてたが、フーキが起きる気配は全くない。

 多分メンテギリギリまでBGOをしていたとかそんな所だろう。


「流石は廃ゲーマー・・・っと、それっぽいの発見!」


 フーキが子供の頃に来ていたであろうボロイTシャツと短パンを発見。

 サイズは・・・うん、丁度良い感じ。


「見た目も無難オブ無難で問題無いしこれを借りて・・・ん?」


 子供服の下に、大切に保管された書籍を発見する。

 こいつまさか・・・この時代にエロ本を?


 ガクブルしながら本の表紙を確認する。


【ロリロリハーレム、お兄ちゃん私を好きにして!】


 やばい、見るんじゃなかった。

 

 いたたまれない思いをしながらも、エロ本を丁寧に元の位置に戻す。

 これは禁忌の品だ・・・発見されてはいけない。


 まぁ目的の物も手に入ったしさっさとずらかるか・・・

 そう思いながら玄関に視線を向け、俺は眉を顰める。


「掃除くらいしてやるか」


 服を貸してもらうお礼という訳ではないが、普段から世話になってるしそのくらいしてやっても良いだろう。

 せっせとゴミを分別し、散らかっている物を整頓、風精霊の力で簡易掃除機を作り部屋の装備を開始する。

 すごいでしょ奥さん?この掃除機音が出ないし電気代もかからないんですよ!


 ニヤニヤしながら水道周りを噴き上げ、散らかっていた衣類を洗濯機にぶち込んでスイッチを入れる。

 ちなみにかなりバタバタしていた筈だが、フーキは起きる気配は全くない。 

 

「こいつまさか寝たふりしてるんじゃあ!?」


 手をパンパン叩きながらフーキに近づいた俺の腕をフーキがガッシリ掴み、俺を布団の中に連れ込んでしまう。


「おいフーキ!?お前やっぱ起きひゃん!?」


 ヘンな所を触られて声をあげてしまった俺は、顔が真っ赤になるのを感じながら、涙目に怒りの眼差しをフーキに向ける。

 

 しかしフーキはぐっすり眠っている!


 寝ている人間に怒る訳にもいかず、声を抑えながらも布団からの脱出を試みるが・・・


「ちょ!?ほんとにどこ触って・・・やめ!んん!?」


 フーキに背後からガッチリホールドされてしまった。


 ヤバイ!このままじゃ俺はフーキに好き放題されてしまう!

 悲鳴をあげてでも逃げるべきか!?・・・だがそんな事をすれば友人の人生をゲームエンドさせかねない。 

「ん・・・っくぅ」


 全身をまさぐられるのを感じながらも更に思考を加速させる。

 ならばゲームの力で窓の外に放り投げるか?


 さっき掃除した時に換気の為に全開にしたし可能だ。

 だが起きている時ならいざ知らず、流石のフーキも寝たまま受け身は取れないだろう・・・最悪打ちどころが悪ければ死ぬかも・・・


 そう思うと体に力が入らなくなっていく。

 その間もフーキは本当に寝てるのか?といった手つきで体をまさぐり続け、体が熱くなっていくのを感じる。


「やめ・・・んぅ!?これ以上は!?」


 フーキに抱っこされるように頭を抱えられ、嫌でもフーキ臭が鼻の中を充満する。

 本当にこいつはくっさいなぁ!? 


 ビクビクと震えながらフーキの猛攻を耐えていると、いつの間にかフーキの攻撃が止まっている事に気が付く。

 

 助かった・・・? 

 俺は頬を流れる涙を隠すように上を覗く。 


「んあ?・・・アズ?」

「・・・おはよう、そして・・・死にさらせ」

「は?」


 まだ目覚めたばかりだからか、ポカンとしているフーキの胸倉を強く掴み、そのまま窓の外に放り投げる。


『ぁぁぁぁあ!?』

『キャー!空からパンツ一丁の良い男が!?』


 まったく!今日はなんて日だ!


 ◇


 〖永久凍結(垢バン)解除〗


 ・・・?

 頭の中に響く声に首を傾げながら、少女は重い瞼を開く。


「どこ?」


 見渡す限りの白い部屋、全く記憶に無い場所。

 いや、正確には違うのかもしれない?


 フラフラと立ち上がった瞬間、目に入った青い髪を見て少女は小首を傾げる。


 かみがあおい


 よくよく見ると背中には見慣れた羽がある

 すごく見覚えがあり、懐かしい物。


 けど


 少女は自分がどんな状況にいるか考えようとして・・・諦める。


「なにも おもいだせな い」


 記憶喪失というやつだろうか?

 少女は呆然としながらも、真っ白な空間を見渡す。


 とびら


 目を凝らしてみると、白い部屋に溶けるかのように真っ白な扉が存在している事に気がつける。

 扉には何やら文字が書かれているようで・・・


「うぇるかむとーびお・・・」


 少女はそこまで言うと最後まで読むのを諦める。


「よめない きっと がいこく」


 髪色こそ日本人離れしているが、自分は日本人だったはずだ。

 見知らぬ場所に超常的現象、不用意に扉に触れるのは危険だろうか?


 おんな はどきょう


 少女は一瞬躊躇したが、頬を軽く叩いて扉に手を触れる。


 すると扉は軽い音を立てて開いてく。

 扉の向こう側にはポリゴンのような形と虹色の色彩が無数に存在し、徐々に確かな形を形成していく。


 きけんはなし


 少女は扉の向こう側に形成された活気のある街並みを見て、扉の向こう側に踏み込む。

 記憶は混濁しているが、少女は確かに見た事のある物達、匂い、音を聞いてここが現実だと仮定する。


 けど


 少女は物珍し気にこちらを見る人々の服装に視線を向ける。

 果たしてあれは現実に見た光景だったか?

 もっとこう・・・四角い箱越しに見ていたような・・・


 そこまで思考を巡らしていた少女は、こちらを見ている人間達の中に懐かしい顔を見つける。

 驚きすぎて顔面崩壊しているが・・・確か。


 はっきりと名前は思い出せないので、いつも呼びかけていたように口を開く。


「あーさー」


 合っていただろうか?

 少女はふよふよと目的の人物に抱き着いて見上げる。

 抱き着かれた男は、未だ顔面偏差値を半分くらいにしたまま硬直してしまっている。

 名前を間違えた?というより・・・


「あーさー は しっかり顔の 死んだ目」


 目の前の人物はそれと逆、見た目はだらしなく見えるが、目に力がこもっている。


 少女は少しづつ知人の記憶を思い出しながら、緑髪の男から距離を取る。


 しらないひと


 それだけ呟くと、周りの視線を避けて人気の少ない場所に移動する。


 めだってた


 何で目立ってたのだろう?

 髪が青いから?いや、周りの人物達も大概に鮮やかな髪色をしていたし・・・


 はね か


 少女は路地裏から道行く人々を見て、自分の背中を見て確信する。

 しかしこれは確か生まれもった物だったから取り外せないし・・・


 忌々しげに、かつ無表情に羽をさすっていると、羽から光の玉が現れる。

 何事だろうと光の玉を見ていると、光の玉がふよふよと浮かび子供のような声を発する。


 あー、やーっと存在を安定させる事に成功したでありますよ!

 ななに?

 ん?アズ様では・・・ないでありますね、見た所アタシの管轄の迷い子といった所でありましょうか?


 光の玉は興味深そうな声を発しながら少女の周りをクルクル回ると、ついてこいと言うように空を漂う。


 正直今自分がどんな状況にいるのかはわからないが・・・


 背中の羽に力を込める。


 まって


 少女は光の玉を追いかける事にした。


思うがままに筆を振るいました。正直こういう描写は初めてだったので、相当お見苦しいかもしれないです。

あと例によってアズさんの性別は明確に表現する気は無いです。

男か女かは読者さんの想像にお任せします。


あ、ちなみに次話には全く手をつけてませんよ?いつになるかなー・・・


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