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BioGraphyOnline!  作者: ツリー
第二章 割れる大地と海の悪魔
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第四十一話 男達の鎮魂歌

『目を開けろ!デルタⅠ!目を開けてくれ!』


 そんな悲壮な叫びと共に、HPがまっすろな未来に旅立った同胞を見下ろす


『どうして、どうしてこんな事に!!!』


 あるものは体内から汁という汁を出して

 あるものは虚ろな目でひたすらこの世の終わりを呟いている


 絶望しかない・・・ここは地獄だ

 震えながら逃げ出そうとする男の前に、水色の髪をした少年とも少女ともいえる風体の子供が立ちふさがる


『ひぃ!ゆ、ゆるひへぇ!?』


 ◇


 遡る事数時間前


「今戻ったぞー」

「おう!おかえり!」


 どこに行っていたのか、泥だらけになって帰って来たグレイにタオルとお茶を渡す


「いや、見ての通り泥だらけだからな、温泉でちょっと流してくる」

「お?もうそんな時間か?」


 帰って来たばかりで疲れてるだろうに、やんわり断られてしまった

 まぁ温泉で疲れをいやして来れば良いさ


 グレイの為に温泉を解放すると、外が騒がしくなってくる


「グラフは温泉どころか風呂すらないからな、あのアップデートから察するにまぁ当然の結果か」

「そういう事だ、男共なら数日くらい平気だろうが女は・・・っくっく・・・じゃ、俺は行ってくる」


 何やら気色の悪い笑みを浮かべながら行ってしまった

 熱さで頭がハッピーセットにでもなったのだろうか?


「さて、俺も今日は疲れたし・・・さっさと風呂入って落ちるとするか」

「そうもいっとられんで?」


  体を伸ばしながらお風呂セットを出した所で、背後から聞きなれた声


「・・・なんだフーキか・・・メッセージの返信も無しに急にどうしたんだよ?」


 そこには泥だらけの我が友フーキ、あとなぜかランズロットさん


「色々あってな・・・それより今すぐ温泉を封鎖するんや!時間が無い!」

「な・・・なんだよ!?何かあるの!?」


 フーキの鬼気迫る勢いに怖気づいていると、温泉の方から悲鳴が聞こえてくる


「遅かったか!」

「今度はなんだ!?」


  俺達3人は温泉に向かって走り出す


  そこで見たのは・・・


「うふふふふ、乙女の園を覗こうとした罪は重たいですわよぉ?」


 メアリーさんによる大量虐殺の現場だった


 男達は悲鳴をあげ、メアリーさんをなんとかしようと叫んでいる


『やつをおさえろ!やつさえなんとかなれば!』

『この先には俺達の楽園が!』

『『『負けられない戦いがここにある』』』


 その叫びに呼応して、覆面男がメアリーさんに高速で接近、ローブ男が魔法を唱えて炎の鎖で足元を固める


『はっはぁ!!悪いがお嬢さん、少しの間眠っててもら』

「じゃ☆まっ☆」


 メアリーさんは踊るように鎖を引きちぎると、目の前まで来た覆面男の目にナイフを突き立てる


『うあああああ!目がぁぁぁ!?目がぁぁぁぁ!?』


 目を押さえながらうずくまる覆面男を見てローブ男が逃げ出そうとするが、すでにメアリーさんに捕捉されている


「あら?貴方の相手は私だった筈ですよぉ?」

『ひ・・・ヒィ!?』


 なんとか振りほどこうと暴れていたが、手足を切りつけられ動けなくなる


『は・・・離せBBA!貴様のようなBBAに我らは興味等無い!!!』

「貴方の口は・・・少々おいたが過ぎるようですわね」


 喚いていた男の喉が掻っ切られる


「悪い子には・・・お仕置きが必要ですわよね?」


 男の声にならない叫びがこだまする


「何だ!?何が起きている!?」


 そんな仲間の状況を見て指令を出しているであろうフードの男が叫ぶ

 ・・・あれ、グレイじゃないか?


「これだから役立たずは!俺は先に逃げるぞ!」


 そんなブーメランに近い台詞を放ちながら逃亡を試みようとしたようだが

 背後に走り出そうとし、何かにぶつかったように尻もちをついている


「まさか君があの場にいたとはね・・・これも運命!騎士の力、存分にみせてあげよう!」


 グレイを持ち上げて暗がりに連れ込むランズロットさんの目は血走っている


「な・・・何をするきだ!?な・・・!?なんだその長くて馬鹿でかいものは!?」

「私は槍使いだからね・・・君は体力に自信があるのは知っている」

「や・・・やめろ・・・くるな!くるなぁぁぁぁぁ!」


  暗がりからグレイの悲痛な断末魔が聞こえてくる


「め、メアリーさん!?どうしたんですか!?」

「あらあらアズさん!お見苦しい所を見せちゃいましたね~」


 そう言いながらハンカチで血をふき取るメアリーさん、その姿もっすごい怖いですよ?


「実は私の所に正義の風紀委員様から秘密文書が届きまして~」


 俺は泥だらけのフーキに視線を向ける


「ああうん、そこでメアリーさんに集団覗きをしようとしてるやつがおるって伝達してもらう予定やったんやけど・・・まさか全滅させるとは思ってもみなかったんよ」

「うふふ~乙女の敵は私が成敗しちゃうぞ☆」


 まぁ俺もメアリーさんがここまで強いとは想像してなかったけど

 伊達に二人クランで東の覇権を握るだけはあるって事か・・・


「しかし・・・こいつら全員覗き犯」


 冷たい眼差しで近くにいた冒険者に歩み寄り、その顔を両手でぺたぺた触る

 なんか若干嬉しそうなのは気のせいだろうか?まぁいいか


「そういえば人間の中にも小さいけど精霊っているんですよ、それを操ったらどうなるのか興味あったんですよね~」


 パンッという音と共に、嬉しそうにしていた男が破裂する


「ふむ、こうなるのか~でもまだ他の可能性もありますよね~」


 顔には破裂した男の血がヴェットリついたが、気にせず次の目標に歩み寄る


「さっきは破裂したけど・・・次はどうなるかな~♪」


 全身から体液を流し倒れる男冒険者


 周りがドン引きするなか笑顔を絶やさず次の冒険者を見つける


「今日は実験体が多くて助かる~!♪」


 ◇


 後日、今回の覗きに関わった冒険者は後片付けと多大な被害金をアズに支払う事になった


 グレイ筆頭に「後悔はしていない」等わけのわからない供述を述べ

 自分達の血の海を見て吐いたりと二次災害が発生したりした


 今回の首謀者格であったグレイはホームへの出入りを一時的に禁止

 見事円卓の騎士団に囚われ、現在ランズロットさん直々の個人レッスンを受けているらしい


 ランズロットさん曰く同じ様な事件が起きても「決して加害者にまわらないように教育する!」と煌めく笑顔を浮かべていたという

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