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BioGraphyOnline!  作者: ツリー
第二章 割れる大地と海の悪魔
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第三十九話 改築! (エピソード2プロローグ)

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<アップデート内容>

 ゲーム内とリアルの時間が連動、それに伴い天候、時間の概念が実装(夜は危険なモンスターが出現します

 NPCの無限POP、街の自動修復システムが無くなりました

 より現実味を帯びさせる為、細かな修正を加えました

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 ドラゴンイベントから数日

 今日も今日とてBGOにログインしている俺は、本日行われたアップデートを片目にベッドから飛び起きる


「ふうむ、今回のアップデートは微妙ですなぁ」


 現実味って、ある意味ゲームには一番不要な物だろうに


「うわ・・・なんか蒸し暑いぞ?」


 あれだろうか、天候とかの概念が追加されたから温度も上がってるのだろうか

 ゲームの中でもこの暑さに悩まされるとか嫌なんですけど?


 うだるような暑さに顔を顰め、飯を作る為にキッチンに向かう

 階段下では金色の寝ぐせがピョコピョコ


『アズさんアズさん!おはようございます!』

「おはよールピー、今から飯の支度するからリビングで待っててくれー・・・っとその前に」


 わかりました!と、笑顔満点のルピーを引きとめる

 今まで寝ぐせとかそんなのなかったが、今回のアップデートでその辺現実に近づけてきたのか?


「まったまった、寝ぐせを直すからちょっとこっちに来なさい」


 水精霊でルピーの髪をしめらせ、風と火精霊で簡易ドライヤーをかける

 洗面台の櫛で髪を梳いているとルピーがニヤニヤしている


「ルピーさんルピーさん?今日はご機嫌だね?」


 首を傾げる俺をルピーがジーっと見つめる


『いえ!なんでも無いです!』


 ルピーは心底嬉しそうに髪をとかれている

 なんだってんだ


 髪がサラサラになったのを確認してルピーの頭をぽんぽんと撫でる


「じゃあちょっと待っててね?」

『はーい!』


 ドタドタとリビングに向かうルピー

 彼女にはもうちょっとお淑やかさを身に着けさせた方が良いかもしれない


 調理場でサンドワームをライス風にして炊き、ジン魚の稚魚でだしを取る

 しっかりだしが取れたジン魚を触手部分だけ取って炙り焼き魚に

 触手部分はお昼にソーメンに使う為に冷水につけておく


「日本人の朝食といったらこんな感じかな?」


  <ワーム飯>

  満腹度+30 力+1

<魚スープ>

  満腹度+20 知力+1

<魚の炙り焼き>

  満腹度+25 知力+1


「最後に隠し味として・・・エレガントクック!」


<ワーム飯の味と品質が1上がった>

<魚スープの味と品質が1上がった>

<魚の炙り焼きの味と品質が1上がった>


 満腹度をMAXにしないのは食べきれない可能性があるからだ

 お残しはゆるしまへんで?


 苦笑しながらアイテムストレージにしまい住人のログインチェックを行う


「今ログインしているのはルピーと・・・グレイか、流石にはやいな」


  宿屋に泊まるだけでレベルが最前線プレイヤーと肩を並べる事はある、ログインするのも早い


 フレンドではないグレイの情報は無いに等しい

 しかしこのホームの住人になった事で、知らない人以上、フレンド未満の最低限の情報が手に入るようになったのだ


 まぁこいつの情報なんてRを払われてもいらないが


 グレイの部屋の扉の前でオタマとフライパンをクロスさせカンカンカンと金属をぶつける音を鳴らす


「おいグレイ、朝だぞ!我が家のルールそのいーち!ご飯は一階で食べましょう!」


 今作ったルールを読み上げながら扉を叩く

 返事がない、ただのひっきー部屋のようだ


 木を操って鍵を作り、扉の鍵を開けて中に入る

 ドラゴン討伐でRが大量に手に入ったからって、鍵付きのドア買ったんですよ?この子


 室内では、緑髪のイケメンがジャージ姿のまま目を見開いてこちらを見ている


「なんだいるじゃないか肉か・・・グレイ」

「ちょっとー!?何勝手に入ってきてんの!?アズさん!?なんで縄持ってるの!?」

「うちのご飯は一階で食べる、降りてこないなら無理矢理に・・・というルールを今作りました」

「横暴だ・・・!断る!俺は部屋から出ないぞ!」


 ベッドに大の字で横になり意地でも動かない様子のグレイ


「良い覚悟だ!いけ!ジロー!」


 アイテムストレージからジローを召喚してグレイをベッドから引き離させようとする

 だがグレイは微動だにしない


「甘いぜアズ!いつまでもジロー君に負ける程やわじゃないのさ!」


 なん・・・だと・・・

 今までHPしかなかったと言えるグレイがジローの力では動かせなくなっている

 ジローの力は15

 それ以上の力を手に入れたというのか!?


「はっはっはー!諦めるんだアズ!さぁ扉の前にご飯を置いて・・・アズさん?何する気ですか?」

「行くぞージロー!」


 綱引きのように二人の力でグレイを引っ張るが、グレイは必死にベッドにしがみつきながら叫ぶ


「ぐおおおお!負けられない!負けれない戦いがここにあるんだ!」

「なかなかやるじゃないかグレイ」


 グレイはニヤリと口角を上げる


「ふふふ!アズこそ!後衛職の力で超高レベルの俺をここまで追い詰めるなんて!」


 なるほど、こいつも日々成長していると・・・

 しかしこのままでは飯が冷めてしまう

 ・・・この手は使いたくなかったが


 俺はグレイに背を向けるように縄を引っ張ると、可能な限り声を変える


「おはようございます、アズリエルですがグレイさんはいらっしゃいますかー?」

「ほおう!?アズリエルさん!?おいアズ邪魔だ!どけ!!!!」


 俺を押しのけてどたどたと階段を降りていくグレイ

 何とも言えない感情に口をムニムニさせながらも・・・


「これで二人目」


 最後の住人がログインしているが、やつなら先にリビングで待ってるか


 階段からリビングを見下ろすと、グレイが何やらドンヨリしながら座っているのが見える

 その隣には我らがフーキさん


「おう、おはよう」

「おはろー」


 いつものやり取りをしながら席に座り、モーニングセットを並べる

 ルピーは顔を輝かせ、グレイとフーキは目を閉じ手と手を合わせる


「それではみなさん」

「「「いただきます!」」」


 ◇


「ふぉぉぉ!マイショップ!いやっふぅぅぅ!!!」


 ドラゴン戦+賭けで稼いだRによりホームの敷地内に店を構えた俺は、現在ピッカピカのマイショップの壁に頬擦りをしている


「うんうん!やっぱ自分の店って良いよな・・・まぁメニュー画面押した瞬間出来上がったのは興ざめだったけど」


 メニュー画面の改築を押した瞬間店が出来上がってるんですよ?

 もっとこうドワーフとかが出てきて明日出来上がるイメージだった

 なんだか夢が壊された気分だ


「しかし・・・」


 俺は再度メニュー画面を見て、ニヤリと笑みを浮かべる


「ほほう、温泉・・・そんな物もあるのか」


 庭の改築タブ一番下にある温泉の文字に、俺は目を輝かせる


「お値段150Rか」


 店を建てるのに400Rしたから、今の所持金だと50Rぐらい足りない

 しばらくお店で稼いでという手もあるが・・・


 人間欲しいと思ったら諦めきれないもので・・・


 日が沈む中、泥だらけになり地面を掘る事になった


「アズは働き者ですなぁ」


 そんな俺を二階の窓から終始眺める害悪が一人


「グレイもたまにはどうだ?汗かくのも悪くないぞ?」

「俺はこーやって部屋でのんびーりしながら人が汗水流してるのを見るのが好きなんで、お構いなく」


 グレイの部屋に大量の土を投げ込もうと思ったが、掃除をするのは俺なので堪える

 その代わりロープを準備しておく


「ところで今日の晩御飯は出来てんの?」

「今日はドラゴン肉を揚げるだけだからな、下準備は出来てる」

「なんたる手抜き・・・まぁドラゴン肉はうまいから許す」

「なんで上から目線なんだよ・・・まぁ良いけどっと!!」


 グレイが後ろを向いた瞬間にロープをひっかけ、ゴキリという音をたてて落下してきたゴミに耳打ちする


「ちなみに今作ってるのは温泉だぞ?そしてグレイの部屋からはよく見えるこの位置につくる・・・」


 グレイはゴクリと喉を鳴らすと、どこで手に入れたのかアイテムストレージからつるはしを取り出し地面を掘りだす

 その様子に苦笑いをする


「あれ?汗水垂らす人を見るのが好きなんじゃなかったの?」

「水臭いじゃないかアズさん!不肖このグレイ!手伝いますぜ?」

「じゃあ少し小さめの幅、高さは座りやすい位置までお願い」

「合点承知!」


 ちなみにグレイ部屋からは立派な温泉の壁が見える予定だ

 俺はよく見えるとしか言ってないからな、嘘は言っていない


 黒い笑みを浮かべながら穴を掘らせ、メニュー画面を開く


「ふむ、必要なRは大分減ったな」


 そう!BGOではある程度自分でやれば割安になるのである!

 ちなみに今の値段は120R、朝から頑張った甲斐あって中々の成果だ


「この調子なら・・・!」


 穴の方に視線を向けると、穴掘りをやめたグレイがつるはし片手に遊んでいる


「・・・飽きるの早くない?」

「だってつまんねぇんだもん」

「ちなみに超有名なNPCに声をかける予定だ、どこかの戦場では女神と称されているらしいぞ?」

「・・・桃源郷が目の前に迫って来たぜ!」


 グレイのやる気が上がりみるみる穴が広がっていく

 ちなみに酒場という戦場で女神と言われているアリスの事だ、嘘は言っていない


「さて、一度夜ご飯作って来るけどグレイはまだ掘っててくれる?」

「ひゃっほーーう!桃源郷!桃源郷!」


 駄目だあいつ、はやくなんとかしないと

 しかし今の状態なら肉を揚げてる間に掘り終わりそうだ


 ホームに戻った俺は、厨房で肉を揚げていく

 リビングにはよだれを垂らしながらこちらを見ているルピーさん


「ルピーさんルピーさん?もし外の手伝いをしてくれたらルピーさんのおかずを増や・・・」


 最後まで言い切る前にルピーが消え、外から轟音が聞こえてくる


「ルピーも悪い男に騙されそうで不安なんだよなぁ・・・」


 ルピーの分の料理も終えて机に並べていく


「二人共ー!ご飯できた・・・よ?」


 そこにはホーム並みの大きさの広い穴、土台が完成されていた


「いやールピーちゃんは流石だねー・・・お兄さん心折れそうだよ・・・」

『それほどでもないです』

「二人共ご飯できたよー俺は最後の仕上げするから先に食べてて」


 ルピーがまたも消え去り、その後ろをのそのそとグレイがついていく


「さて・・・と」


 グレイが見えなくなったのを確認した俺はメニュー画面を確認する


「よし!温泉100R!」


 迷うことなく購入、目の前に見事な温泉が出来上がる

 しばらく所持金15Rになるが、なーに、料理店を営んでいればすぐ貯まるだろう


 新築された温泉の壁に頬擦りをしていると、飯を食べ終えたグレイがのそのそと現れる


「アズさんアズさん、何でクネクネしながら壁に頬擦りしてんの?」

「ん?見たらわかるだろう!温泉が完成した喜びを全身であらわしているのさぁ!!」

「あ、はい」


 何やらグレイが冷たい目で見てくるが、この感動を味わえないとは・・・可哀想なやつである


「・・・ん?アズさん?アズさん?何か邪魔な壁が見えるんだけど?」

「男風呂と女風呂・・・それに俺専用もできるなんて夢みたいだ」

「アズさーん?おーい?」

「ああグレイ、ありがとう!男風呂一番乗りの券はグレイの物だよ!」

「え?あ?はい」

「温泉にいざ出陣!」


 尚もポカーンとしているグレイを置いて、俺専用の温泉に入り疲れをいやす


「ああーこれだよこれ」


 おっさんのような声を出しながら全身をほぐしていると隣から歓声が聞こえる


「おおー!思ったよりすごいなぁ!・・・貸し切りだし泳いでも良いよな!」


 何かが吹っ切れたグレイがはしゃいでいる

 せっかくなのでジローを呼び出し、酒とオチョコを持たせてグレイに差し向ける


 今日のお礼の意味もあるのだが・・・


「風呂に入る時はね・・・誰にも邪魔されず・・・自由で・・・なんというか救われてなきゃあダメなんだ・・・独りで静かで豊かで・・・」


 明日からは・・・お店の宣伝もしないと・・・


 今日もホームではのんびりした時間が過ぎていくのであった


<Lv8

<HP60 MP35 力15(+1) 防御6(+3) 知力40(+9) 俊敏5(+2) 運20 


<スキル:人形使い、自然界の盟友、精霊術、自然、独力

<アーツ:エレガントクック、精霊化、アイスピックハンマー



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