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BioGraphyOnline!  作者: ツリー
第一章 空の王者と愉快な仲間達
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第三章 青キ獣

 

 -------------------------------------------

 グラフ草原

 グラフ街を囲うように広がる草原

 北にグラフ大森林、南にヌレー河川と続く

 出現するモンスターは弱く、単体での出現が多い事から

 多くの駆け出し冒険者がこの草原で日夜戦闘訓練をしている

  グラフ幻想譚

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 無事フーキと合流、PTを組んでグラフ平原にやってきたアズ

 しかしそこには凶悪なモンスターが根付いていた。


 ここに出現するモンスター

 青い毛並みをたなびかせ、赤い瞳で岩陰から新人冒険者達を虎視眈々と狙っているネズミの姿をしたモンスター、ブルーラット


「おい!誰だよ!一番の雑魚敵こんな強化したやつ!」

「運営まじふざけんな!」

「ちょ!やめ!俺のぼろの服が破ける!」

「おい!男の裸なんて・・・待てよ!女性プレイヤーはいないのか!?」

「「!?」」


 そう、最初の雑魚敵にしては強い!強すぎるのだ!

 フーキがタンクをしてくれているから助かっているが、ジロー、フーキ、俺の三人でタコ殴りにしても倒すのに大分時間がかかる。

 しかしそのブルーラットよりも冒険者達の方が凶悪そうというかなんというか・・・

 どっちがモンスターか、あえて触れないで置こう

 ちなみに女性冒険者は被害にあっていない


「しかし強すぎるっていうのは同意やね」


 フーキが汗を拭いながらつぶやく


 チュートリアルではモンスターと全然出会わなかったが今は歩くたびに戦闘になっている気がする

 BGOの仕様上無理して戦う必要も無い、しかし冒険者として戦いにロマンを感じるのは当然だろう


「俺達だと火力不足なんだよなぁ」


 そもそも火力が無に等しい俺とジローは言わずもがな

 無手術で格ゲーさながらのコンボを決めて戦えるフーキですら、ブルーラットを倒すのにコンボ3回分くらい決めなくてはならない

 まぁフーキは防御が異常に高いので正直見てて安心する

 死ぬことはないし、連続コンボのおかげでヘイトがこっちにこないから俺も死ぬことはない

 一石二鳥である


「しかし俺も何とかブルーラットにダメージを与えれないかなぁ・・・」


 そんな事を考えながらフーキの戦いを見学しながら休憩・・・おお!すっげぇ昇竜拳からの空中・・・あれ?波動拳でてない?そこまで出来るの!?


「これは・・・俺のスキルにも何かしら可能性があるかもしれんな・・・」


 そう思いスキルを分析


 逃走、これは逃走の成功率アップ等につながる、戦闘には関係なさそうだ


 隠密、これは隠れる事に特化したスキル、不意打ちからのファーストアタックは魅力的だが、いかんせん火力不足、俺の貧弱パワーでは使い物にならない


 見切り、相手の動きが少し遅く見え、かつ急所がわかるようになる

 運の高さと併用してなかなか良い組み合わせに見える、隠密と合わせれば武器によっては暗殺者さながらの事もできるかもしれない、ただし俺の貧弱(ry


 独力、人形使いは・・・考えるまでもないが最後に自然

 一体何ができるのか全くわからず放置している

 寝そべっていたら体力がもりもり回復したくらいしかわかっていない。


「しかし無手で波動拳が出せるのであれば・・・いける!いけるぞ俺!」


 そう自分を鼓舞して飛び上がると、地面に手を当て草を操るイメージ・・・

 すると自分を中心とした一定範囲の草が不自然に動き出す

 そのままの勢いでブルーラットに絡めつける、見事ブルーラットを捕えた!流石俺だわ!


 だが所詮草

 数秒の足止めにもならず、かつブルーラットのヘイトがこっちに向いてしまった


「アズ!まずいで!」


 フーキとジローが急いで駆けつけようとするが、無駄にステータスが高いブルーラットに足を噛まれ、悲鳴をあげながら飛び上がる羽目になってしまった


「ものすごい痛い!!?」


 ヘッドギアの設定で痛みを10%までにしているがとても痛い!

 しかも噛まれただけで㏋が半分以上消し飛んでるじゃないか!?

 フーキさんよくこんな攻撃を物ともせず耐えてましたね!


 バックステップをして距離を取るが、足がもつれて草の上に倒れこむ、万事休す!

 目を閉じ覚悟を決める・・・だがいつまでたっても次の攻撃は来ない

 周りの様子を見るとブルーラットがきょろきょろと周りを見ている

 いや、ブルーラットだけじゃなくフーキとジローも周りを見ている

 何かあったのだろうか?と思っていると、ブルーラットがそのままフーキに襲い掛かり戦闘が再開

 ブルーラットの腹部にフーキがキツイ一撃を与えると同時に、ブルーラットが粒子となって消えていく


「うわ・・・痛そう・・・しかしなんで俺攻撃されなかったんだろうな」


 ドン引きしながらフーキに話しかけると滅茶苦茶驚かれた、そんな幽霊にあったような顔やめてくれ


「生きとったん!?急に姿がみえんようになったけん教会送りになったとおもったわ!」


 つまり倒れた拍子に俺が見えなくなったと・・・自然のスキルで自然と同化した?とかそんな理論か?

 隠密スキルの能力が発動したとも考えられる・・・それとも両方か?


「これは・・・試してみる事が増えたな」


 俺はほくそ笑む


 少しでも戦えるようにフーキと一時PTを解散

 独力の効果で能力を底上げしつつ、フーキには周りから見た感想を頼む


 目標のブルーラットを発見!標準より少し小さいくらいで、岩陰から新米冒険者を吟味している!

 即座に隠密で真後ろまで移動、見切りで急所を思いっきり殴る!

 ブルーラットは驚いたように後ろに飛びのきこちらを見る、そこで俺はあえて大地に寝そべる!

 ブルーラットが目標を見失い周りを見渡してい所にジローを召喚

 ジローにブルーラットを誘導させつつ俺との真反対に移動してもらう、そこでジローをアイテムストレージに戻す、再び目標を見失ったブルーラットに隠密で近づき攻撃!これを繰り返す事数回、遂に単独?でのブルーラットを討伐することに成功した!


「どうよ?完封だぜ?」


 したり顔でフーキに話しかけるとなぜだか微妙な顔をしている、なんだ?何か問題があったか?


「いやー完封はええんやけど・・・時間かかり過ぎるのと地味やわ・・・レベル上がっとるで?」


 新たな可能性に気づいた俺にそんな感想とは・・・こいつ、ここで倒しても構わんのだろう?

 と思ったが、俺とフーキでは間違いなく泥仕合にしかならないので軽く小突く程度にする


<Lv3

<HP18 MP7 力4 防御2 知力6 俊敏3 運7 残9P 

<スキル:人形使い、見切り、隠密、自然、独力     枠外 逃走、精霊術


 戦闘面でのステータスが著しく上がっていた!それに新スキル!精霊術とな!


<精霊術>

 精霊を見ることができるようになり、また力を借りる事ができる


 来ましたよ!精霊の力を借りる!

 見切りを外し精霊術をセット、周りに淡く光る光源体が現れる

 あれだ、ほかのゲームでいうウィスプ的な


 フーキが不思議そうな顔でこちらの様子を伺う中、光源に触れると懐中電灯に触ったかのような温かみを感じる。

 試しに近くの岩に光源を投げつけると、光源が強く輝やき岩からボコッという音がした

 んん!これは精霊魔法ってことですね!

 フーキの少し驚いた顔がまた気持ち良いっすね!


 しかしおかげで余っているステータスポイントの割り振りに更に悩むことになる、今回のような奇襲特化にするか、精霊術による知力特化にするか


「びっくりしたわ・・・魔法でも覚えたん?」

「ふっふーん!精霊術だってさ!」


 フーキがシステム画面を見て何やら頷いている


「これなら少しはマシな戦闘が出来るんちゃう?」

「まっかせなさーい!今度はもっとスマートに決めてやる!」


 次の目標を探すべく視界を巡らせる


「あ、ちょい待ちアズ、これやるわ」

「なぁにこれぇ?」

「リング、指輪・・・まぁアクセサリー装備やよ」


 フーキに渡された無骨な指輪を太陽で照らす


<アイアンリング>

<力1 俊敏1 〇> 


「へぇ・・・中々良い装備じゃん!貰って良いの?」

「せやね、正直見てられんレベルの戦闘やし」


 一言多いんだよ一言!

 しかし指輪・・・指輪ねぇ・・・


「なんかゲーム画面だと普通に感じてたけど、見知った知人から指輪を渡されるとあれだな・・・」

「気持ち悪い事いわんでや・・・ちなみに能力値の後ろに〇ってあるやろ?」

「ん?ああ、あるな」


 言われるまでもなく気づいてたぞ?ほんとだぞ?


「それはソケットっていうてな・・・」


 フーキがそう言いながら同じデザインの指輪をインベントリから取り出すと、もう片方の手で赤い宝石のような物を取り出して指輪に重ねる

 すると赤い宝石はみるみる指輪に吸い込まれていき、赤いオーラを纏った指輪が出来上がっていた


「こうする事で指輪に新しい能力を付与できるっちゅうことや、どうや?」

「え?ペアルックの指輪とか気持ち悪!!」


 ドヤ顔をしていたフーキががっくりしている


「そこかいな・・・いらんなら返してや」


 フーキが俺から指輪を取り返そうとしてきたので噛みついておく


「それはそれ、これはこれ、というかその宝石とやらもプリーズ!」

「だめだこいつ・・・宝石は滅多に手に入らんレアアイテムっぽいから無理や」


 溜息を吐きながら噛まれた手をさする友人を見ながら首を傾げる


「フーキも今日始めたばかりだろ?どこでそんなレアアイテム盗んできたんだよ」

「人聞き悪い事言わんといてや!?拾ったんや!街で偶然!」


 人、それをネコババという


「そ!そんなことよりもや!ジローもアズと同じタイミングでレベルアップしとったで!?」


 冷たい視線を向けていると、俺が何を言いたいのか察したフーキが慌てて話題を逸らしにきた

 俺はじとーっとした視線をフーキに向けながらも、ジローのステータスを確認する


<ジロー>カテゴリー(人形)耐久値(48%)

<Lv3

<HP10 力3 防御2 俊敏4 運1 

<スキル:囮


 力が上がってるのは序盤フーキと戦ってたからとして、俊敏は後半に誘導してもらってたからだろう

 能力の上がり具合からもプレイヤーと同じく行動方法によって上がるステータスが変わるのか?

 囮は・・・つぶらな瞳でこちらを見ているジローと視線が合う

 ごめんて、ソロで戦うにはあれしかなかったんだって


 まぁ兎に角!これで快適な戦闘間違いなしだ!

 俺は改めて視界を草原に移動させ・・・

 新しいシステムログが流れている事に気が付く


<緊急メンテナンスのお知らせ>


「・・・」

「・・・」


 俺とフーキは無言でログアウトするのであった


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<囮>

 敵のヘイトを高め自身を攻撃対象とさせる

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