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BioGraphyOnline!  作者: ツリー
第一章 空の王者と愉快な仲間達
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第三十五話 レイドボス

 

「ほらほらどうした!こっちやこっち!崩拳(ほうけん)!」


 振り下ろされた翼を回避、がら空きの腹部に拳を突き立てる


 拳は吸い込まれるようにドラゴンの腹に命中、ドラゴンの鱗が飛び散るがHPゲージは微動だにせず、防御ダウンのデバフがついた様子も無い


 割とモロに入ったと思ったんやけど・・・救援到着まであとおおよそ数十分きばるで!


 わい目掛けて振り下ろされた鉤爪を掴み、ドラゴンと至近距離で睨み合う

 馬鹿力により、足が地面にめり込んでいく


「うぉぉぉ!今や!「「スイッチ!!」」


 覆いかぶさるようにわいと力比べをするドラゴンの首元に、†エンドシャドウ†が着地する


「ふぅん!我は終焉、混沌を望み、世界の終焉を司る大魔王・・・エェンドゥ・・・・シャドゥ・・・」

「いえ!今そういうの良いんで、はよ頼みます!!」


 このピンチの場面で悠々と語りだすのは勘弁してほしいね

 しかも若干ねっとり言うのがまたあれや・・・


 こっちの気持ちを知ってか知らずか、青兄さんはしぶしぶといった顔をしながら空中で回転、ドラゴン目掛けて足を振り下ろす


「これぞ!終焉へ導きし我が力・・・気喰脚(きくうきゃく)!!」


 蹴りはドラゴンに命中、ドラゴンが青兄を睨む

 HPゲージに相変わらず変動は無いが、青兄のHPは回復しとる・・・


 ドレイン効果は有効、完全耐性持ちではない

 加えてダメージを受けてないのではなく、わいらのダメージが少なすぎて削れないだけやね、これは


 ドラゴンの情報を分析しながら青兄さんの援護をしていると、ドラゴンの口元から火が溢れ出す

 あれはちょっとやばそうやね!


「青兄さん!」

「ん?我が最強の力を見て恐怖したか?ういやつめ・・・そう!我こそは†エンドシャドウ†!終焉をみしゅ!?縮地(しゅくち)!?」


 ドラゴンから発せられた超高威力の炎を避けながら、青兄さんが青い顔をしている


「おいお前!噛んじゃっただろ!語り口上の時に攻撃するなよ!!」

「そんな事言ってる場合やないで!?」


 ドラゴンが第二射を構えている


「ふん!我は今大いなる大地の震動により動く事が出来ん!我が宿敵よ、なんとかせよ」


 つまり足が震えて動けないから助けてくれって事やろうね


 わいは青兄目掛けて第二射を放とうとするドラゴンに接近、顎を打ち上げる


 ドラゴンのブレスは行き場を失い、ドラゴンの頭がボンッ!と爆発する


「普通やったら致命傷やろうけど・・・」


 煙の向こうでドラゴンが爛々と目を輝かせている

 やろうねー!?


 ドラゴンの前方180℃が赤色に発光、股下をくぐるようにその範囲から逃れる


 その瞬間、ドラゴンが雄たけびをあげながら地面を叩きつけ、地面が陥没して崩れていく


「ただでさえ狭いフィールドやっちゅうのに!」


 ドラゴンはそんな崖になったフィールドを背にこちらを振り向く

 このままやとじり貧や・・・!!


「青兄さん!動けるようなりましたか!?」

「む・・・無論だ・・・我は暗黒世界の魔王にして勇者・・・なるぞ・・・」


 膝を抑えながらふらふらと立ち上がる青兄さん

 どう考えてもドラゴンの攻撃を捌くのは厳しそうやけど!?


「しばらくはわいが・・・」


 相手する・・・そう言おうとした瞬間、ドラゴンの背後が爆発、足場が崩れ始めてドラゴンがよろめく


「救援や!」

「我だけでも十分であったが・・・下々の者に武勲を立てさせるのも将のつとめ・・・か」


 もうこの際それでもええです!

 青兄さんと共に、体勢を崩したドラゴンに接近する


円孔砲覇(えんこうほうは)!!」

「我が一撃は・・・終焉なり!双流脚(そうりゅうきゃく)


 わいと青兄さんの一撃を受け、ドラゴンが崖下に転落していく


「追撃するで!お願いします!」


 ジェスチャーで何がしたいかを伝え、そのまま崖下にダイブ


「ええい!我を使うとは良い度胸だ・・・あといい加減†エンドシャドウ†と呼ばんか!」


 青兄さんが回転しながらダイブ

 回転する青兄さんの足を乗り、吹き飛ばされるようにドラゴン目掛けて両手を突き出す


「「宿敵式合体奥義!!双流円孔砲覇」」


 空中で旋回、体勢を立て直そうとしていたドラゴンに直撃

 再び体勢を崩したドラゴンが崖下の川に転落する


「これは爽快やね!」

「ふぅん・・・我らの光と闇の力が合わされば造作も・・・おい風紀委員!下!下!!」


 下?

 下では川に落ちたドラゴンが、落ちてくるわいらを待つかのように大口を開けている


「大丈夫や、川の中をよう見てみてください」


 青兄さんは訝し気な表情をしながらも川に視線を移す


 川の中にはゆらゆらとゆらめく多数の影

 それらは統制のとれた動きでドラゴンを包囲、ドラゴンは何かに引っ張られるように川でもがき始める


『がっはっは!やっとわしらの出番のようじゃのう!』


 色黒のおっさんが川から飛び出してくると同時に、モリや鎖が現れドラゴンを拘束していく


『野郎共!空の生きもんに川の怖さを思い知らせてやれ!!』

『『『おう!!!』』』


 そんな様子を見ながら悠々とドラゴンの上に着地、対岸に向けてジャンプする


「ふー、中々上手くいったやん?」

「わ・・・我は生きた気がしないが・・・当然の結果であるな」

「そですか、ドラゴンのHPは50%やから、そろそろ噂のトリガー攻撃が来ますよ」


 ドラゴンはモリや鎖を無理矢理引きちぎり、上空に向けて飛翔

 それに合わせて漁業組合のメンバーが川に戻り不規則に散開する


 何人か鎖で引きとめようとしたみたいやけど・・・ああ、空中で食われてもうた


「っと!?聞いてたより広いで!?」


 ドラゴンが丸くなると同時に4か所の地面が赤色に発光、巨大な隕石が飛来

 爆炎と共に川の水路を封鎖し、漁業組合メンバーもろとも辺りを蒸発させる


 漁業組合のメンバーは全滅したのか、ドラゴンがこちらにターゲットを戻す


「おいおい冗談やろ!?青兄さん!もっかい行きますよ!」

「ここここうなる事は我の予想の範囲ないである!さぁ、破滅への輪舞を共に繰り広げようではないか!」

「ほんま頼んますよ!ウォークライ!」


 青兄さんと二手にわかれ、挟撃するようにドラゴンのヘイトを固定

 鉤爪を受け流しながら近くの冒険者を探す


 結構距離があるね・・・早くても5分くらいやろか?

 しかもさっきより力が増しとるし・・・これは間に合わんかもしれんね


 わいのピンチに気づいた青兄さんがドラゴンのヘイトを奪い、回避しながら叫ぶ


「ええい!諦めるでない、我が宿敵よ!安心するが良い、こちらには伝説の千円アイテムを持った軍団が味方にいるのだ!!」


 千円アイテム?

 ああ、課金アイテムの事やね!でも課金アイテムに今使えそうなもんあったっけ?

 確か、各種能力を数倍に高めるアイテムぐらいしかなかった気が・・・


「って!青兄さん!?」


 どうやら考えすぎていたようで、相方のピンチに気づけなかった


 青兄さんがドラゴンの鉤爪をモロにくらって空中に吹き飛ばされとる!?


「っく!ウォークライ!」


 しかしドラゴンのヘイトは動かない

 ここで青兄さんを失うと、ますます勝ち目が無いっちゅうのに!


 ドラゴンがとどめの一撃を放とうとアーツの予備動作に入った瞬間、ドラゴンの爪が爆発

 地面に頭からダイブしそうになっていた青兄さんをキャッチし、難を逃れる


「くっくっく・・・これが小鳥の会の千円アイテムの力・・・か・・・ガクッ」

「いや、今そんな子芝居に構ってる暇ないんで、引き続きお願いしますよ?」


 しかしどういうこっちゃ?近くに冒険者の反応は無い

 攻撃が届く範囲に・・・まさか!?


「気づいたようだな我が宿敵よ、そう!やつらは千円アイテムの力により超高距離からドラゴンをスナイプしているのだ!!」


 何やそのチートアイテム!?

 いやまぁ課金アイテムなんて基本そうやけども!


 そうこう言いながらもドラゴンのヘイトを奪いながら交戦を開始

 全方向からの銃弾の支援により、危うげなくドラゴンの攻撃を捌く事に成功


 時間と共に近くの冒険者も集合し、目に見えてドラゴンのHPが減っていく


『あと22%!』


 これならいけるで!


 しかし、HPが20%に差し掛かった所で再びドラゴンが天高く飛翔する

 また隕石を・・・いや


「なんや?雰囲気がおかしい」


 ドラゴンは隕石をふらす時と同じように丸まっとるけど・・・明らかに前回と違うで


 戦闘状態の全員の目の前にシステムログが現れる


<ドラゴンの封印が解かれた>


 何が起きたか理解しないまま、呆然と空を見上げる冒険者の一人がポツリと呟く


『おい・・・小型のドラゴンの討伐だったよな?』


 赤く染まる空を背に、巨大化したドラゴンが腕を組んでいる


 ドラゴンから恐ろしい程の魔力の奔流が溢れ出す


「これは・・・やばいのくるでー!!!」


 わいの叫びと同時にフィールドのほぼ全域が赤色に発光する

 回避場所は・・・あった!トリガーで振って来た隕石の影!

 が・・・距離が遠すぎる・・・!


『『『く・・・来るぞー!!!』』』


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