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BioGraphyOnline!  作者: ツリー
第一章 空の王者と愉快な仲間達
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第十四話 次なる街

 今日も今日とてBGO


 本日はフーキと一緒に冒険に向かう予定だったのだが・・・


「いや不可抗力やってん!道端で満腹度0で今から死にますって感じやってん!!」

「うるせぇ!この変態ロリペド野郎!」


 俺が待ち合わせ場所に着いた時に見た光景

 それはいたいけな少女に餌付けをし、頭を撫でる変態ロリペド野郎の姿だった


「ちが!確かに俺は子供は好きやけどそういう好きやない!」


 これ以上何か言うと逆に自分の首をしめそうな気がするぞ?


 そんなフーキを片目に、今も尚飯を食べ続ける少女に視線を向ける


 そこには露店で買ったであろう串物を美味しそうに頬張るルピーさんの姿・・・と、背後に積み上げられた紙袋の山

 フーキは未だ弁明を続けながらも、手持ちのRを確認して涙を流している


 あぁ、多分好きなだけ食べさせて自分のR全部使い果たしたな


 なんか不憫に思えてきた


「というかアズ!ほんまに小さくなってるやん!」

「なんだ?俺のいう事を疑ってたのか?」


 露骨に話を変えてきたが、この事に関しては俺も言いたい事があるから乗ってやろう


「アズは1cmでも身長が変わったら報告してくるからね、いつもの事と思って無視しとったわ」

「1cm変わるとか大事件だろ!いい加減にしろ!」


 お前に小学生の頃から身長がほとんど伸びない俺の気持ちがわかるか!?

 フーキを杖で殴るが、涼しい顔で手をひらひらさせていやがる


「ああはいはい、それにしても装備一新したんやね、似合っとるやん」

「また話をそら・・・そう?似合ってる?」

「似合っとる似合っとる」

「でっしょー!」


 ふっふーん!

 まぁこいつとは付き合いが長いし俺は心が広いからな、許してやろう


「ほんまちょろくて助かるわ」

「なんか言ったか?」

「なんでもないで」


 ギロリとフーキを睨んでいると、不意に柔らかいものが俺を包み込む


 この感覚・・・覚えがあるぞ?

 確かリアルで姉に抱きつかれた時・・・


「ルピーさんルピーさん?なんで俺に抱き着いてくるんだい?」

『もしかしてアズさんですか?とてもおかわです!』


 そう言いながら俺をナデナデしてくるルピーさん


 くそっ!つい先日までは俺の方が若干背が高かったというのに!!どうしてこうなった!?

 しかも姉と違って気軽に引っぺがすわけにもいかない!

 ・・・というかルピーさんの戦闘力に下手に手を出すと俺がリスポンする事になる


 こうなったら・・・


「・・・それで?今日はどこに行くんだ?俺はグラフの街でかくれんぼでも良いぞ?」


 俺は極力心を無にしながらフーキに話しかける

 恐らく、今俺の目には一切の光もともっていない事だろう


「お・・・おう・・・それなんやけどな、いい加減新しい街に行かへん?」

「なるほどそれは面白そうだな」


 グラフの街でかくれんぼも十分楽しいが、それはそれ、これはこれだ

 やはりRPGをやる以上、未知の大地に向かうのも楽しみの一つだ


「けど新しい街に行くには大分時間かかるんじゃないか?」

「それなら安心や、わいが前回帰還した場所にパーティー毎転移すればええ、マップを見る限り次の街まで1時間かかるかかからんかやな」


 BGOではダンジョンやフィールドから一瞬で帰還する機能がある

 そしてその場所から探索を再開が出来るというシステムもある

 現実が忙しい人に対しての救済システムだとかなんとか


「それでも一時間か・・・」

「ちょっと強いけど割とRを落とすモンスターがおるんよ、金策がてら・・・ね?」


 確かに俺の現所持金は大分寂しい、ついでにフーキの財布はもっと寂しくなった

 ・・・なかなか魅力的な提案ではないか


「いいね!じゃあ早速行こうか!」

「決まりやね、ほなPT申請おくるでー」


 フーキがメニュー画面を開いてわさわさしだす

 さーて、どんな場所からのスタートになるのかなー


 俺が新天地に心躍らせていると、肩をポンポン叩かれ後ろを振り向く

 視線の先ではルピーが恥ずかしそうにチャットを入力していた


[私も一緒に行きたいです、ダメですか?]


 断る理由なんてないな


「良いだろ?フーキ?」

「ん?問題ないで」


 フーキの返事と共に、俺とルピーにPT申請が送られてくる


「承認、と」


 流れ作業のようにYESを選択する俺と、何やら慌てながらもYESを選択しているルピー

 ルピーはちゃんと操作出来たのが嬉しかったのか、若干顔が上気し、嬉しそうににへらにへらしてる


 そんなにPTに入れたのが嬉しいのか?もしかして俺と同じぼっちなのか?類は友を呼ぶっていうし

 ・・・少し優しくしてあげよう


「これから行く場所は金策になるらしいし、折角だから次の街でルピーの装備もそろえようぜ」


 俺の言葉に、フーキがルピーに視線を向ける


「せやね、女の子をいつまでもこんなボロ装備で歩かせるわけにはいかんもんね」


 そういう意味もある

 ・・・しかし


「おい、あんまりルピーを舐めるように見るなよ変態」

「誤解や!?わいはただ装備の確認をやな!?」


 まったく、これだから変態ロリ魔神は・・・ルピーを見てみろ、顔を真っ赤にして固まっちゃったじゃないか


「ととと兎に角や!さっさと飛ぶで!!!」


 フーキが叫ぶと同時に体を浮遊感が襲う

 おおー!これがワープか!


 なんやかんやで初めて使うワープに感動していると、視界がフィールドを映し出す


 地面は丸い黒石で整備され、木々に生い茂る葉は桜色

 所々に見える赤色の作り物には、火の玉がおどろおどろしく漂っている


「ほー!これは随分と和風なデザインだな!」

『とっても綺麗な場所です!』


 グラフの隣という事で、まだまだ中世ヨーロッパのような景観かと思いきや・・・

 感嘆の声とチャットをあげる俺達を見て、フーキがドヤ顔をしているのは気に食わんがな


「せやね、なんやかんやでここまで来るのに数日馬車やったし、国境またいどんちゃう?」

「・・・フーキって俺と同じ日に始めたんだよな?」


 俺と冒険してたりそんなに時間は無かったと思うが・・・何でこんなに進んでるんだ?こいつ


 俺の疑惑の視線に、フーキがああと手を叩く


「単純な話やで、移動時間は馬車で放置しとったからな」

「ああ・・・なーる」


 睡眠時間とか食事の時間とか、全部移動に費やしたわけか

 根っからの廃人じゃないか


「今更やろ?」


 俺の心を見透かしたようにフーキが笑う

 人の心を読むんじゃないよ、この野郎


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