表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BioGraphyOnline!  作者: ツリー
BGO!外伝 アーサー王伝説
134/135

外伝第30話 大同盟

 魔王軍討伐の同盟が結成された酒場に東方風の衣装の男が入店する。

 男は周囲を見回し、誰もいない酒場に一人だけ座っている女性に声をかける。


「あはははは、わしを呼んだのはおまえさんかい?」

「そう」


 笑い声と共に男、リョーマは女性、アズリエルの向かいの席に座る。


「何のようかのう?わしも色々忙しいんじゃがのう」

「今回の 他国との同盟に関し て」


 アズリエルは一枚の同盟書を手に持つ。


「今回の同盟 は お互いに 戦線布告できな い けど、それはリョーマ帝国 だけ」

「それがどうかしたかのう?」

「今回の 凸トツ凸の暴走 ぐる?」


 アズリエルは無表情に、かつ単刀直入に話題を切り出す。


「あはははは、そんな訳なかろう?わしかて今回の戦の費用を全額支払ったんじゃ、大損害ぜよ」

「・・・」


 アズリエルは少し考え込むような動作を行うと、ぽつりぽつりとチャットを流す。


「確かに 物資の被害は 大きい」

「じゃろう?なんといっても全勢力の装備調達に走ったからのう」


 しかし、アズリエルはでもと話しを続ける。


「凸トツ凸 が荒らした領地 は 一部侵略寸前でリョーマ帝国 が 同盟国として参戦して リョーマ帝国の物になって る」

「・・・それで?」

「これ は れっきとした 侵略」


 同盟に違反しない、ルールの隙をついた侵略。

 地図に書かれた現在の領地の様子を駒で表しながら、リョーマ帝国、凸トツ凸二色になった地図を示す。


「なるほど、もしわしが凸トツ凸とグルやったとしたらそうなるなぁ、でもそれは妄想やろ?今回わいの領地が増えたのはたまたま同盟を組んでたからや」


 リョーマはインベントリから多数の契約書を取り出し、見せびらかすようにパラパラとめくる。


「魔王軍幹部 の 情報 デマ」

「あれは災難な事故やったのう、わしも間違える事があるってことやな」


 のらりくらりと否定するリョーマに、アズリエルは困ったように首を横にふる。


「リョーマ帝国 凸トツ凸 は 魔王軍とも取引 してい た」

「ほう?その根拠は?」


 リョーマは先ほどまでと打って変わって真剣な表情を浮かべる。


「これ は 魔王軍の同盟国 表」


 アズリエルがそういいながら取り出した表に、リョーマは顔をしかめる。


「なるほどなぁ、その表が本物やったら・・・わしの国も同盟に参加しとることになるなぁ」


 同盟国のリョーマ帝国の文字を見て、リョーマは静かに笑う。


「じゃがそれは本物か?それこそ偽物の可能性が高いじゃろう?」

「今 キャロット に 魔王軍の増援 が 加わった この意味 わか る?」

「・・・」


 リョーマは静かにアズリエルが表示したログを見ると、観念したように両手をあげる。


「それで?おまんらは何を求めとるんや?金か?領地か?」

「ぜん ぶ」


 アズリエルの言葉に、リョーマはピクリと眉を動かす。


「全部?全部かいな!あはははは!強欲なのは良い事やけどそれは容認できんなぁ、それとも?おまんらごときの国でわしの国を攻め落とせるとでも?」


 再びケラケラ笑うリョーマにアズリエルは淡々とチャットを続ける。


「最終 勧告 今 奪った領地を無償 で 返さなけれ ば リョーマ帝国 は 痛手お負うことに なる」

「上等じゃあ、そのまま返り討ちにしてキャロットを奪ったるわ」

「・・・そう」


 アズリエルは、野心に燃えるリョーマの目を見て、諦めたようにつぶやく。

 そして誰もいない酒場にチャットを流す。


「だ そうで す」

「誰に言って?」


 頭にハテナを浮かべたリョーマは周りを見渡し、絶句する。


『おいおい本当に裏切ってたのかよ』

『くそー!まんまと騙されたぜ!』


 いつの間に現れたのか、そこには今回被害にあった領地の主達の姿。


『けどってーことなら大義名分のもとリョーマの国を攻めれるな!』

『はいはーい、とりあえずやられた分やりかえしたいでーす』

『じゃあアズリエルさんの言うとおり、今度こそ大同盟くんじゃう?』

『『『いぎなーし』』』


 リョーマは冷や汗をかきながら立ち上がる。


「一体いつから!?」

「最初から だよ」


 アズリエルが杖をコンコンとならすと、周りの領主の姿が見えなくなる。


「幻惑魔術やと!?この全部の領主を隠してたやと!?」


 リョーマはしてやられたと渋い顔を浮かべる、だがすぐにひょうひょうとした表情を浮かべる。


「せ、せやけどおまんら、ええんか?わしは魔王軍と同盟を組んどる、簡単には取りかえせんで?」

「こっちも 魔王軍と 同盟して る それは、わかってるよ ね?」


 すでに勝敗は決したといった感じで話すアズリエルに、リョーマは食って掛かる。


「ま、待て待て、わかった?金なら出す、領地ももちろん返す、せやから無益な争いはやめようやないか」

「その提案を飲むの は もう遅い」


 これが最終勧告前だったならば話は別だったが・・・とアズリエルさんは思いながら、片手を振り上げる。


【キャロット陣営及び同盟国50ヶ国がリョーマ帝国に宣戦布告しました】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ