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BioGraphyOnline!  作者: ツリー
第一章 空の王者と愉快な仲間達
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第十二話 RPGで新しい装備屋に入る時ってワクワクしますよね

 その日は突然来た・・・


 俺は最近の日課になりつつあるBGOを起動

 ログイン画面である鏡の前に立ち、驚愕の事実を知る事になる


「ち・・・縮んでる!?」


 鏡の中の自分を見て、俺は愕然と膝をつく


「あ・・・アリエナァイ・・・!!!」


 悲痛な叫びと共にログインを済ませた俺は、急いで心の友に音声チャットを飛ばす


『はいはい、こちらフー「ふ・・・フーキ!たたたた大変だ!!」

『・・・落ち着き、何があったんや?』


 かぶせるように放った俺の言葉に、フーキが真剣な声で聞き返してきてくれる

 流石は心の友!激エモだよ!!


「それが体が縮んでるんだ!5㎝も!」


 プツンという音と共に、音声チャットが切断されてしまった

 回線の調子でも悪いのか?


 再度音声チャットの申請を送るがつながらず、しばらくするとメールが届く


『がんばれ』


 ・・・・・やっぱあいつは心の友なんかじゃないやい!


 ◇


 というわけで


 体が縮んで装備がぶかぶかになった俺は、装備品を新調する為に防具屋に来ていた


 もとより今日は新しい装備の買い出しとスキルの確認をするつもりだったから別に良いけどさ・・・


 ちなみに今の残金は50R

 この前のヌレー河川に行く道中にルピーが狩った魔物から得た物と、クエストの報酬金だ


 戦ってないのにこんなにもらえないといった所


[美味しいごはんを作ってくれるのも大切なお仕事です!]


 と眩く光る笑顔で言ってくるルピーさん


 ちなみにルピーの分のRはクエスト後の酒場の時にほぼ全部使い、小型バーナーも気前よく俺にくれた

 あの子はへたな男より漢らしいかもしれない


 そんなこんなで防具屋に来た俺は、西部劇にも出てきそうな外観の店ガラスを見て溜息を吐く


「あれからまた1㎝は縮んでるよなぁ・・・・」


 ・・・まぁ今はそれは置いとこう、折角のショッピングが台無しになってしまう

 溜息一つ、少し小汚い防具屋に入店した俺は、多種多様な防具に目を輝かせる


「わー!まじか!RPG特有のこの装備!やっぱ生で見ると違うな!!」


 はしゃぎながら防具を眺めていると、カウンターの方から唾を吐くような音が聞こえてくる


 カウンターでは、丸坊主の目に傷がついたヤクザの用な人がいる


 この人防具屋の店員だよね?どちらかというと武器屋な気がするが

 特にこちらに関心は無いようで、新聞を読みながらあくびをしている

 一瞬怖い人認定しそうになったが、害はなさそうなのでそのまま防具を見て回る


 ここの店では一番高いのでドラゴンプレート5000R、低いものだと旅人の服10Rが売ってある

 品揃えが豊富なのでどれにしようか悩んでいると、店員が声をかけてくる


「おいそこのガキ、見たところ後衛職だな?それなら軽装かクロースが良いぞ、後衛職が重いもん装備しても意味ないからな」


 ふむ、見た目の割にまともなアドバイスをくれる


 軽装コーナーを見て回ると、防御は少ないが俊敏が高いものが多く売っており

 クロースコーナーには知力が上がる装備が置いてある


 一通り見て回っては装備を着たりして、値段を見て棚に戻す


 軽装装備はクロースより値段が気持ち高く、安い物でも50Rの予算ギリギリだ

 やはり財政を考えるとクロースか・・・と、見た目と値段で商品を物色


<魔法のローブ白>25R

<防御力+2 知力+3


 能力はいまいちだが、見た目が気に入ったのと予算の範囲内で十分なのでこれに決めた

 白色を起点としたローブで袖やすそのあたりに赤い色の模様がついているものだ

 浮浪者のような姿が一変、魔導士のような出で立ちになる


「あとは適当に合わせの服を・・・っと」


<魔導士装備用インナー服 黒>3R

<防御力+1


<初心者用登山ブーツ>2R

<俊敏+1


 俺が購入予定のアイテムを店員に渡すと、店員が目を細める


「おい、お前はもうちょっと小さめのサイズを選べ」


 店員の台詞に目が点になるのを感じる


「え?なんで?なんでですか?」


 まじで意味が分からない台詞


 アズは混乱している!


 店員はそんな俺を見て鼻で笑う


「わしはこれでも防具屋だぞ?そいつがこれからどんな成長をするかぐらい多少はわかるってことや」


 え?成長だよね?なんで小さい服を選ばせんの?


 店員は尚も困惑する俺に無理矢理小さいバージョンの服を渡すと、再びカウンター席で眠たそうに欠伸をし始める


 よく見ると俺のRが減っている・・・  


「・・・・結局小さい方を買わされてしまった」


 釈然としない気持ちのまま防具屋を後にした俺は、そのまま武器屋に向かう


「さてさて武器屋は・・・」


 俺は心機一転、ワクワクとしながら武器屋を見上げる


 西部劇に出てきそうな外観

 少し小汚く・・・ん?防具屋と見た目似てるな

 中に入るとカウンターに丸坊主の目に傷がある・・・ってさっきの店員じゃないか!?


 顔を凝視していると店員から話しかけられる


「おう!なんじゃいわれ?わしの顔になんかついとんか?」

「あ・・・いや・・・さっき防具屋で会いませんでしたっけ?」


 というか若干喋り方が怖いなこの人、人見知りな俺にはキツイタイプだぞ?


 怯えたように体をすくめていると、武器屋?の店主がカラカラと笑いだす


「そいつぁわしの兄弟じゃ、ほれ目の傷が反対じゃろ?それが目印じゃけん」


 そう言いながら目を閉じ傷をトントンと叩く

 わかるかぁ!そこまで見てないわ!というか運営の手抜きだろ!

 等と邪推しながらも武器を見ていく


 RPG特有の武器から、現代兵器に近い物品、果てはこれは武器じゃないだろ!ってネタ物まである


 色々あるが、だがしかし・・・


「一通り見て回ったが、買えるのはこれだけだな・・・」


<樫の杖> 15R

<知力+1


 棚に置いてあるガイアの杖やイフリートの杖を物欲しそうに見ながら樫の杖を購入


 精霊術で見たらあれすごいんですよ、杖自体から精霊が湧き出てるんです

 ちなみにお値段5万R


「ぐぬぬ・・・いつかあんな武器を手に入れてやる」


 そんな台詞を言いながら店を後にし

 食料をほどほどに買い込み街を出る


 ◇


「今日はキャンプでも良さそうだなぁ・・・」


 あれから何故かどんどん身長が縮み、見事防具屋に渡された服のサイズがぴったりになった俺は、グラフ草原東に位置する岩の上で、日向ぼっこをしたくなる気持ちを抑えながらスキルを弄る


 自然界の盟友がどんなスキルかを確認したかったのだ

 今の所街中でスキルをセットしただけでは特に何もなかったが・・・


 精霊術で周りの精霊を視る

 ここには地精霊が多く存在し、時たま風精霊が視える


「特に変わり無しっ・・・・と」


 どうしたもの考えていると、岩の隙間からブルーラットが飛び出て牙を剥いてくる


 飛んできたブルーラットをかがんで避け杖で殴ると、HPゲージが3分の1減ったのが確認出来た

 最初に比べてダメージが全然違う


 当初赤色だったブルーラットの名前が緑色に変わっているのを見るに、恐らく一定量レベルが離れると補正が入るのだろう


「しかしこれだけレベルが離れても一撃じゃ無理なのかよ・・・」


 そんな俺の呟きを無視するように、ブルーラットは再度こちらに向かって走り出す


 迎撃すべく樫の杖を構えるた所で身の回りに変化がみられる


「お・・・?これは・・・?」


 杖を構えた瞬間、周りにいた精霊が自分の周りを旋回し始めたのだ


 今までは精霊の近くに行き手で直接触れた上に、念じないとスキルは発動しなかった


「これはスキルの効果か・・・杖を装備したからか?」


 近くに居た風精霊を杖に当てて念じると、精霊は小さい竜巻を起こしながらブルーラットを吹き飛ばす


 ブルーラットが大きく吹き飛び、スタンしている間にねそべって思考をまとめる


 なるほど、今までのように精霊に近づく必要も無く、かつ杖で触れればスキルは発動するのか

 漠然としたイメージで使ったからかダメージはさほど無かったが、今までより遥かに効率が良くなった!

 胸を躍らせながら起き上る


 目標を見失い警戒していたブルーラットがこちらを捕捉、突進してくる


「・・・いい加減お前の動きは見慣れた・・・ていうかワンパターンなんだよ!」


 樫の杖を上段から振り下ろしブルーラットを地面に叩きつけると、HPが真っ白になり微動だにしなくなる

 これなら一人でもジン魚あたりは軽く倒せそうだ


「しかし指輪をつけてると杖を持ちづらいのが難点か・・・?」


 慣れたら大丈夫なんだろうが・・・なんというか握った時の違和感がすごい


「違和感の為だけに装備を外すのはあれだし・・・そうだな・・・」


 試しに指輪をネックレスのようにして首にかけてみる

 すると指輪の効果がステータスに反映されているのを確認


「これは中々良い発見なんじゃないか?・・・お次はっと」


 俺はインベントリからジローを出現させ、アイテムストレージに突っ込んだままだったぬいぐるみのカタールを取り出すと、メニュー画面からぬいぐるみのカタールを装備させる

 するとジローの腕にカタールが装着され・・・


「お・・・?おおー!!!」


 二本足で立ちあがったジローに驚愕の表情を浮かべる


「立った!立った!くら・・・ジローが立った!」


 本日何度目かの感動に小躍りする


「これは人類にとっては些細な一歩だが・・・ん?」


 小躍りしていた所、岩陰から視線を感じて赤くなりながらも杖を構える


 すると岩陰から怪しい男がポーズを決めながら近寄って来る


「おお!我が同胞にして我が血縁!アズリエルではにゃふう!!!???」


 容赦なく地精霊をぶつけ気絶させるのであった


 --------------------------------

<Lv6

<HP38 MP20 力7(+1) 防御5(+3) 知力26(+4) 俊敏5(+2) 運20 


<スキル:人形使い、自然界の盟友、精霊術、自然、独力


<樫の杖>

<魔法のローブ白>

<魔導士装備用インナー服 黒>

<初心者用登山ブーツ>

<アイアンリング>


挿絵(By みてみん)

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