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BioGraphyOnline!  作者: ツリー
BGO!外伝 アーサー王伝説
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外伝第22話 キャロットの錬金術師

 キャロットより徒歩2分、閑(ry)

 円卓で幼女拉致計画を宣言した俺は、以前来た時よりも少しデカくなったカフェイン錬金工房を訪れていた。


「何だ留守か?」


 いつの間に新調されたのか、豪華な装飾が施された大きなツボ、棚では色とりどりのフラスコから煙が出ている。

 軽く店内を見回すがちみっこ一人いない、店主がいないとは不用心な・・・ここは俺が心を鬼にして、社会の厳しさを教える必要があるか?


「やぁやぁキャロットの総大将、またまたまたボクの工房に何か用かナ?」


 っち!留守じゃなかったか。

 教育的指導という名目で何を盗むか考えていると、チャットログに聞き慣れたチャットが流れる。

 よくよく見ると怪しげなツボの上から、白いふわふわな頭髪が見え隠れする。

 ツボの方がでかすぎて気づかなかったが、カフェインがツボの向こう側でピョンピョンしているのが見える。

 ちなみにこのゲームに置いて、盗みはバレなきゃ犯罪ではない。


「かふぇいん ひさしぶ り」


 隣で心を見透かしていたように、無表情のアズリエルさんがカフェインに向けて軽く手を振っている。


「やぁやぁ軍師ちゃんもご一緒かイ?これはまた儲け話かナ?」


 カフェインはアズリエルさんを見ると、少し嬉しそうに手を振るアクションをうつ。

 それを見たアズリエルさんは、少し恥ずかしそうな・・・それでいて嬉しそうな無表情を浮かべて店内を物色しだす。


 先日トリスタンがアズリエルさんにロビーアクションを教えていたのだが、エモーションをあまりお気に召さなかったアズリエルさんは、ロビーアクションが凄く気に入ったらしい。

 本人曰く「ちゃっとより ら く」らしい、納得いかない。


「それでそれデ?アーサー君は何か買っていってくれるのかナ?」


 アズリエルさんと入れ替わるように隣に来たカフェインが、不気味な程首を傾けて笑顔を浮かべる。


「ん?ああ、今回は情報を貰いに来たんだ」

「情報かイ?」


 カフェインは俺のチャットを見ると、何かを値踏みするように目を細める。


「商人にとって情報というのはとても大事な物ダ、それは理解しているかナ?」


 途端に俺のスタミナゲージが青く染まる。

 これはこの辺り一帯の気温が低下した事を示すのだが・・・下手な事を言ったらヤバそうな雰囲気だな。

 俺はPCの前で小さく息を飲む。


「前に吸血鬼との茶会がどうとか言ってただろ?その吸血鬼の居場所を教えて欲しい」

「なるほどなるほド?ボクに顧客の情報を教えて欲しいト?」


 カフェインはゆっくりと俺から距離をとると、棚に陳列してあるケツ・ホルグに手を伸ばす。


「知っているかイ?商人にとって信頼というのは大事な物ダ」


 どうやらアンサーを間違えてしまったらしい。

 商人っていうのは大事な物が多いな・・・。


「それデ?君はボクの友達の吸血鬼に会って・・・何をするんだイ?」


 カフェインがケツ・ホルグを持ったまま手のひらを上に向けると、ケツ・ホルグがぐにゃりと形を変え、黒い何かに姿を変えていく。

 以前冒険に出た時の戦いを見るに、こいつのクラスはランサーとかそんな物だと思っていたが・・・。

 コミュ症を極めた事により、人との触れ合いから逃げ続けた頭脳をフル回転させる。


「ちょっと魔王軍に用があってな、吸血鬼って悪魔だろ?橋渡しを頼みたいんだよ」


 こういった手合いに何か誤魔化しを入れるのはマズイと判断して正直に言ってみたが・・・どうだ?

 ゆっくりとカフェインにヘイトを向ける。


「・・・あれ?俺なんか変な事言った?」


 俺の発言を聞いたカフェインは、目をパッチリ見開き呆けた表情を浮かべている。


「あーさー あー さー」


 予想外の反応に困っていると、アズリエルさんがグイグイと俺の袖を引っ張る。


「きゅうけつきは あんでっと」


 な・・・なんだと・・・?

 俺は今世紀最大の驚きに目を見開きながらカフェインに視線を向ける。


「・・・あア、少なくともこの世界において吸血鬼というのは、アンデットに分類されるネ」


 俺は初手から大きなミスをしていた事に気付き、ガックリと床にひれ伏す。

 ああああああ!やっちまったぁぁぁぁぁ!

 あんだけトリスタンにドヤ顔で宣言したってのに!これからどうしろってんだ!?


「あ・・・あははははハ!やっぱり君は面白いなァ!」


 カフェインは嬉しそうにケツ・ホルグだったものをムニムニすると、膝をつく俺の前にかがみこむ。


「良いヨ良いヨ?吸血鬼・・・ヴァンプはアンデットだけど魔王軍と顔馴染みらしいからネ、キミの目的は達成されると思うヨ」

「・・・マジ?」

「まじまジ!」


 くるくるとゴスっぽい衣装をふわふわさせながら、カフェインからPT申請が飛んでくる。

 迷う事無く承諾、どうやら目的は達成出来そうだが・・・。


「ところで、商人は顧客の情報は売らないんじゃなかったのか?」

「あア!ヴァンプは顧客じゃなくて友達だし、ボクの本職は商人じゃなくて錬金術師だしネ!」


 ・・・納得いかねー。


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