<プロローグ> BGO!
BIOGRAPHYONLINE(通称BGO)
新しい世界を創るがキャッチフレーズのフルダイブ式VRオンラインゲーム。
俺こと青葉大和はゲーム大好きな普通の高校生!
友人からの勧めもあり、発売日当日にスタートダッシュを決めた俺が今している作業は・・・
ゲーム画面の真っ白な空間
目の前に現れた半透明のウィンドウにYESを押す・・・<サーバーが混雑中です>の文字を視認
再度現れたウィンドウにYES、<サーバーが混雑中です>
YES、<サーバーが混雑中です>
「いつになったらできるんだよぉ!」
白い空間に俺の叫びが虚しくこだまする。
しばらく地面に身を投げ出してゴロゴロしていたが、なんか悲しくなってきた
「はぁ・・・はぁ・・・敗北者・・・ってやつか・・・」
高校生という立場上
どうあがいても夕方にログインする事になる俺は、間違いなくゲーマーの敗北者だろう
唯一の救いは明日から長期休暇という所だろうか?
SAN値がガリガリ下がる現実にゲンナリしながらも、ひたすらYESを押し続ける
「お・・・?ローディング画面に変化あり!ktkr!!」
ついに浮かんできた新たな文字に目を輝かせ・・・
<緊急メンテナンスのお知らせ>
ゲームからログアウト、二時間というログイン競争の果てに頭からヘッドギアを外す
これから始まるニューゲームに心躍らせる状態からこの仕打ちはあんまりだよ・・・と思いながらも
「オンラインゲームって基本そうだよな」
小さくつぶやきながらベッドに身を投げ出し、ゲームが起動した時のOPの感動を思い返す。
壮大なBGM鳴り響く草原
リアルと見間違えるレベルのグラフィックに驚愕の表情を浮かべていると、金髪のイケメンとピンク髪の美女が親し気に笑いかけてくる
唐突なエンカウントにしどろもどろになりながらも会話を試みたが、ただのムービーだったらしく
テレビの中の人に話しかけているともいえる現実に赤面して地面に伏す事になった
しかしそんな俺を無視するかのように、爆炎と同時にドラゴンが雄叫びをあげて突っ込んでくる!
イケメンと美女は武器を構え、伏している俺に笑いかけドラゴンに突撃する・・・所で画面が変わり今度は玉座の間
険しい顔つきの王様が俺に何か言おうとする等のOP
俺は架空の存在があたかも現実にあるような空間に心奪われていた。
ちなみに最初はOPは飛ばせない仕様らしい。
そして画面が唐突に自分の部屋を映し出す
どういう原理か細部まで再現された自分の部屋に驚きつつ
唯一違う点、目の前の大きな鏡を覗き込む
鏡の中には真っ白な空間に佇む俺の姿。
よく見ると鏡にキャラクタークリエイトの文字が浮かび上がっている
BIOGRAPHYONLINEは基本見た目を変える事はできないが
髪の色や目の色、肌の色等、色は変える事ができる。
鏡の自分の頭に触れ・・・るとカラーパレットが出現
髪の色を水色、瞳の色を金色に変える。
そして鏡の文字の最後にキャラクターネームの欄
日頃からネットゲームで使用しているアズと登録。
すると鏡の中の俺が手を伸ばし、鏡の中に引きずり込まれ・・・
そのまま真っ白な空間に連れて来られた俺の目の前には半透明なウィンドウ・・・
<ゲームを始めますか?YES/NO>
ここまで思い出し行き場のない憤りを感じながら溜息を一つ
テーブルの上に置いてあるスマホで友人にLINEを一言
「ログインできねぇwてか緊急メンテきたw」
返事を待たずそのままベッドの上で特大ぬいぐるみをモフモフしながら夢の世界にダイブするのであった。