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見つめる視線

 僕の趣味はアニメやゲームの美少女フィギュアを集める事だ。

 外からよく見えるようにガラス戸のある棚に並べていたけど、今はその棚にはカーテンが閉めてある。


 最初は気を付けてみないと気が付かないほどだった。

 (少し向きが変わってる?)

 地震かなにかで向きが変わったんだろう位に思っていた。

 そのうち仕事が繁忙期になり、残業で家に帰ればすぐ寝てしまう生活でフィギュアの向きが僅かに変わった事など頭の隅からも抜け落ちていった。

 仕事が落ち着いた頃、久々の連続した休日に徹夜で溜まったアニメの消化や溜まった性欲的なアレの消化のため深夜まで起きていた。

 ヘッドフォンをして目の前のパソコンの画面に集中する。

 画面では美少女の肌と流れる汗が映し出される。

 右腕が小刻みに動き興奮が高まった時、ゾクリとする。

 (誰かに見られている気がする)

 もし母親がいればその情けない姿に涙するのだろうがこの部屋には僕以外は誰も住んでいない。

 (もしかして泥棒とか……?)

 僕は立派になった股間を隠すのも忘れてビクビクしながら後ろを振り返るが誰もいなかった。

 (気にし過ぎかな?)

 そう思い画面に向き直るがまだ視線を感じる。

 また振り向き真後ろのフィギュア棚に目を向けるとこっちを向いてる。

 真後ろにあるのだからこちらを向いてるのは別におかしくはない。

 ただポーズ的にかっこいいからと横を向けていたフィギュアも僕を見るように向きが変わっていた。

 『バン』

 音がしてパソコンに向き直ると床に机の空きスペースに置いていた小さめのフィギュアが落ちている。

 パソコンのスペースキーが落ちた衝撃で押されたのだろう。

 画面には見ていた動画の続きが再生され、ヘッドフォンからは淫靡な音が聞こえる。

 カットが変わり美少女のバストアップが映し出され、まるで後ろの人形たちの言葉を代弁するように荒い息の後に台詞を言う。

 「さぁ、続けて?」

 さすがにスル気が起きず僕はズボンを履いた。


 翌日、僕はフィギュアの向きをすべて戻して棚ににカーテンをつけた。

 人によってはそんな気味の悪い物捨てるのだろうが僕は捨てられなかった。

 何故ならあのフィギュアに憑依してる霊が美少女の可能性が捨てきれない。

 もし仮に違っててもそう思い込むことでそれはそれでちょっぴりSなプレイみたいで悪くないと思ったからだ。

 でもやっぱり恥ずかしいからしばらくはカーテンは閉めたままだ。

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