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風魔法と神秘の布  作者: そらのかなた
33/34

遭遇

「ナユタくん、まず一つ

 さっきの武器はなんなのかな?」

ルナさんが代表して口を開く


「武器...というか魔法ですよ?」


「魔法?そういう魔法はあまり見たことがないわよ?」


見せれば納得するかと思い

ふたたび唱える


「<ヴェントスパーダ>」


リダクションダガーに風の剣を出現させる


「本当に魔法のようだにゃ...」


アリス以外の面々はかなり驚いたようではあるが

どうにか納得はしてもらえたようなので

魔法を解く


「それが魔法ということは100歩譲って

 理解しましょう。

 それともう一つ

 あなたはFランクの魔法使いということで良いのよね?

 見たことのない魔法も使っているようだし」


「しかも高位の僧侶しか使えない

 <エリアヒール>も使ってた..

 わたしだって使えるを人見たのは

 首都の協会で見た以来..」

クロエも口を挟む


アリスに注意はされていたが

ああいう場面で出し惜しみして

誰かが傷つくのは嫌だったため

使える限りは使おうと思ったのだ


しかしここまで問い詰められるとは

思っていなかった

そこまで使える者が少ない魔法だったとは


異世界からきて

イメージさえできれば魔法が創れます

と言えたら説明も楽なんだけど


などと考えて黙り込んでいると



ルナさんから

「...まぁ、この辺にしときましょうか。

 たしかに驚いたけど...

 ナユタくんを困らせるつもりは無かったの。

 それよりも助けに入ってくれて本当にありがとう

 さすがにあの数では重症者が出ていても

 不思議じゃなかったわ」

そう言って優しく礼を言われて


「あ...いや...全然..大丈夫です...」

(やっぱりルナさん可愛いい..)


「もし...

 もし可能なら、

 ナユタくんたち私たちと一緒に行動しないかしら?」


そう言ってナユタを見つめるルナ


(うわ~なんて神秘的な瞳...

透き通る白い肌とピンクのくちびる

どこぞのお姫様のようだ)

と見とれてしまっていると


「ゴホンッ」

アリスがわざとらしく咳払いし

ナユタに話し始める


「ナユタ、わたしとしては

 Cランクの方と一緒に行動できれば

 より安全が確保できるし

 みなさんとなら効率も良く戦えると思うわよ?」


(ふむ...

確かに<アルテミス>の面々は

バランスよく編成されており

アリスが入ることで更に安定が増し

俺ももう少し自由に攻撃に回れるかもしれない

そして...

なによりこの美少女軍団と共にできるという

奇跡...

断る必要などあるだろうか?

いや無い!断じて無い!!)


久々に<隠蔽>を駆使し

努めて冷静に

「そうですね...

 そう言って頂けると

 俺たちにとっても非常にありがたいです

 こちらこそ是非よろしくお願いします」


「改めてヨロシクね、ナユタくん!」

「ヨロシクにゃ!」

「ヨロシク!」

「よろしく..」

ルナさん、ミーア、クロナ、クロエの順に

あいさつされた

クロナはハキハキしており、

クロエはどうやら引っ込み思案のようだ


あとパーティーを組む上で

名前は呼び捨てで呼ぶことになった


いちいち「さん」付けで呼ぶと

その0.何秒が命取りになる可能性もある


ミーアは良いけど

ルナさんを「ルナ」と呼ぶのはドキドキするな...


...ミーアは良いけど。



ということで

<アルテミス>とパーティーを組み

ふたたびゴブリン討伐に戻る


パーティーでの役割は


斥候・前衛:ミーア

前衛:ナユタ

中衛:ルナ、アリス

後衛:クロエ、クロナ


といった具合になった

なかなかバランスが取れていると思う



それからは少しずつ

上位ゴブリン達の敵影が濃い方を探りながら

進んでいった



冒険者ゴブリンたちが多く

5グループで計30匹くらいは倒しただろうか

大きな怪我もなく進み

パーティーのありがたみを痛感する


(やはり人数がいると安心感があるな...

アリスと二人というのも

もちろん別な意味ではありがたい

シチュエーションだけど

やっぱりもっと安全も考慮しないとだな)


そんな事を考えていると

少し先行して進むミーアが

素早く木陰に身を潜め

こちらにも隠れるよう合図を送ってくる


身を潜めながら全員でミーアに近づく


「ミーア、何かいた?」

声を潜めて確認する


「あいつらは...とんでもなくヤバそうにゃ」


ミーアの見つめる先に視線を移すと

そこには冒険者ゴブリン達を約50匹ほどが

集まっていた


そしてそのちょうど真ん中あたりには 

大剣を肩に携えた

約2メートルはあろうかという

黒いゴブリンが立っていた


明らかにいままでのゴブリンたちとは格がちがう

禍々しい雰囲気を漂わせて


(なんだあいつ...<鑑定>)


ゴブリンジェネラルLv:??

知性を持ったゴブリンを統率するゴブリン

100年以上の時を過ごし進化したと言われる


(間違いない...あいつが今回の元凶)


初めて遭遇する明らかな格上の敵

まだまだ冒険者としての経験の足りないナユタにも

その戦力差がハッキリと分かり

手が湿ってくる感覚


「みんな、可能な限り静かににゃ..

ここから離脱するにゃ」


全員声も出さずに頷く


50匹ほどのゴブリンを相手するのも勿論だが

ヤツ一匹だけだとしても

到底勝てる気がしなかった

それだけ纏っているオーラが段違いだった


各々が細心の注意を払い後退する


そして

10メートルほど下がり

少しずつ速度を早めようとしたときだった


木の上が僅かに動いたような気がして

上をみると...


「ア......アサシン!?」


ゴブリンアサシンがこちらを見つめており

俺たちと目が合うと不敵に微笑んだ気がした


「み、みんな走って!!」

ルナさんが声をあげ危険を知らせる


「ギッーーーー」

とアサシンも発見の合図だろう

奇声を上げる


「<ウインドエッジ>」

アサシンに向けて放ち

着弾を確認する間もなく必死に走る


「ギッーーー、ギギャッ」

と鳴き声が止み、ドサッという音が微かに

聞こえたから恐らくは着弾したのだろうが

振り返ることなく全力疾走する


本隊からは100メートルほど離れられただろうと

少し落ち着きを取り戻し後ろを振り返ると


こちらを見てニヤリとするヤツの顔が視界に入る


背筋が凍るような

まるで獲物を見つけたと言わんばかりの

恐ろしい表情


そして...

「ウガッーーーーーー!!!!」


突然の咆哮

クロエの足がもつれる

恐らくはそういう効果を狙っての咆哮

スキルか何かかもしれない


ナユタも足の力が抜ける感覚があった


パーティーの足が止まる


走り迫ってくるヤツの姿を捉え


「しっかりして、みんなっ!

 このままだと全滅するわよ!

 体に力を入れて!!」

ルナさんの活が入りクロエもなんとか持ち直す



ふたたび走り始めるが

ヤツも迫ってくる

距離にして50メートルほど


大剣を担いでいるにも関わらず

俺たちより少し早いかもしれない


更に40メートルほどに差が縮まったとき

ニヤついていたヤツの表情が段々と怒りの

表情に変わり始めた

必死に逃げ続ける俺たちに苛立ちをおぼえたのかもしれない


突然立ち止まり

ヤツが何か口からブツブツと言葉を発し始める


そしてヤツの右手に魔力が集約し

ファイアボールの10倍ほどの大きさ

バスケットボール大の炎球が

浮かび上がる


「な...あの炎の塊はヤバいにゃ!」

走りながらミーアが叫ぶ


「みんな急いで!」

ルナさんも懸命に鼓舞するが

それはナユタにさえ見ただけでかなりの

火力を秘めた魔法

おそらく当たれば対象は

一瞬で融解するだろう


避けられるのか?


皆が頭の中で思う


もし誰かに当たれば?


1人は犠牲になるかもしれないが他は逃げられる


じゃあ誰が?...



そしてヤツが右腕を前方に突きだし

魔法名を口にする

「<メルトボール>」

解き放たれる炎球


(くそっ

誰かの犠牲で助かったって

後で絶対後悔するはずだ

なら...やってやるよっ!!)


ナユタが立ち止まり

「<ヴェントスパーダ>!!」

風の剣を構える


「ナユタ!なにやってるよっ!?」

後方で突然立ち止まったナユタに声を荒げる


「アリス、みんな、離れててっ」


放たれた炎球が周りの草木を溶かしながら

一直線に近づいてくる


ナユタも炎球に向かい走り出す

「ドオリャアアアッ」

と炎球に風の剣で斬りかかる


「ジュヴァアアアアッ」

という大きな音をたてて

炎球を削り始める


当たった瞬間から

MPがガリガリ削られていくのが分かる

おそらくは風刃の層が

削っては消え削っては消えを

繰り返しているのだろう


時間にして5秒ほどその状態が続く

その間にも物凄い熱波でナユタの皮膚が

焼けていく

(ぐっ....持つのかオレっ

でも、こんなところで

諦められるかよぉおお!!)


「ウオオオリャアアアッ!!」


ナユタの風の刃が

遂に炎球を削り斬る


そして2つ割れた炎球が飛散し

左右の地面に着弾する


「ジュウワァァァ」

という音とともに地面が溶岩のように熔け

2メートルほどの穴をつくる


ナユタはさらにヤツを睨み付ける


まさかナユタに炎球を切断されると思っておらず

最初は驚きのあまり固まっていたが

ゆっくりとこちらを見て

ニヤリと笑みを浮かべた


「ナ、ナユタ!!逃げるのよ!!

 走れる!?」


アリスが近寄って来てオレの腕を引く


クロエがオレに必死に<ヒール>をかける


なんとか頭が冷静になり

ふたたび走り始める


走りながらヤツの表情をみると

まだ笑みを浮かべていた

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