秘密の共有
ローナさんから話を聞いたあと
屋台で軽く夕食を済ませ宿へと戻った
所持金42,500G
お互いに寝る準備を終えたあと
ベッドに腰掛ける
少しの沈黙のあとナユタから切り出す
「アリス、明日からのことだけど...
おれはゴブリン討伐に参加しようと考えているんだ」
アリスに思いを告げる
危険なことであるというのは承知のうえだが
だからといってこの町がやられるかもしれない状況で
逃げ出したくはない
マーサさんやゴードさん、
屋台のおばちゃんたちなど、
少なくとも関わりをもった人もいる
そして何より
<立ち向かいたい>
それがおれの今のやりたい事だと思ったから
だがそんなおれの勝手な気持ちに
アリスを振り回したくはない
だからアリスにも尋ねる
「アリスはどうしたい?」
アリスも口を開く
「ナユタ...私たちのレベルでは
足手まといかもしれないのよ?それでも?」
そう呟く
(足手まといか
たしかにそうかもしれない
だけど、それでも何かできることはあるはずだ
戦闘以外だって)
「それでもだよアリス
逃げるのは...嫌なんだ」
ナユタの決意は固かった
「フフフ」
アリスが笑う
「ん?どうしたの、アリス?」
「いえ...なんかナユタといると私も頑張ろうと思えるなって」
「え?」
「ナユタ、私に
<どうしたい?>なんて尋ねてきたけど
それはあなたの身勝手だわ」
「ナユタには主として奴隷の生活も守る義務がある
それを放棄して私だけ逃がす選択肢を考えるなんて
本当に身勝手
そのあとの奴隷のことなんて考えていないわ」
「ちゃんと私も連れていって
そしてふたりで無事に帰ってくる
それができて初めて私の主だわ」
(なんて勝手な...
アリスのほうがよほど身勝手ではないか)
(でも、そうだった
おれがいま本当にやりたいのは
アリスとふたりでこの世界を楽しむことだな)
「アリス、改めて言うよ」
「おれと一緒に、ゴブリンを倒しに行かないか?」
「はい」
そう言ってアリスは満足そうに笑みを浮かべるのであった
しかし方針は決まっても
実際にゴブリンたちに太刀打ちできる目処は
たっていない
実際、現在のレベルでは足手まといかもしれない
「どうやって戦っていったら良いのかな」
「たしかに私たちでは本当に足手まといに
なりかねないわね」
「レベルも低いし戦闘経験も少ないよな」
そういえばBランク冒険者がいると言っていたが
どのくらいの強さなのだろう
「アリス、Bランクってどのくらいのレベルなのかな?」
「そうね
目安にしかならないけどギルドランク別に言えば
~10がEランク
~20がDランク
~30がCランク
~50がBランク
~100がAランク
それ以上がSランクといった感じかしら?」
「それにしても会ったときから思っていたけど
ナユタは本当に世間を知らないというか...
どこで育ったの?」
「ああ、そっか言ってなかったね
アリス、おれは異世界から来たんだよ」
アリスには全て話そうと思った
奴隷であると言うことでアリスにはおれに逆らえない
というのもあるかもしれないが
それ以上におれはアリスを信用していた
「え!?異世界って...
この世界じゃないってこと!?」
「うん」
二人は無言になる
「ナユタ...あなたには本当に驚かせれてばかりだわ」
呆れられる
「嘘でも冗談でもなく本当なんでしょうね...フフフ」
そして微笑む
「本当に退屈しないわね、どうりで何も知らない訳だわ」
「いままで黙っていてごめん」
「謝ることでは無いでしょう
誰にでも話せるような事ではないのだし。
でも私に伝えたということは、その...
私を信頼してくれているのね、ナユタ」
少し照れながら答えるアリス
「うん...
これはここだけの話にしてね
おれは信頼した人にしか言うつもりないし
無用なトラブルに巻き込まれそうだしね」
「そうしましょう」
「でもその様子では
この国の王さまの祖先が異世界人であることも
知らなそうね」
「え!そうなの?」
「ええ、このドラッヘ公国を建国した初代国王の
ユーマ・スメラギは異世界人だそうよ」
(名前からして間違いないだろう
おそらくユーマはもとの名前で
皇あたりは自分で考えたんだろうな
中二的な病を患っていたのかもしれないな)
「そっか、じゃあゴブリンを倒し終わったら
公国の首都にも行ってみたいな」
「そうね行ってみましょう」
話が脱線したのでもとに戻す
レベルの話だな
Bランク相当の依頼だとするならば
最低でも30以上のレベルに上げなければならない
現在の俺達は
名前:ナユタ
Lv:6
名前:アリス
Lv:4
かなり開きがある
「アリス、話は戻るけど
戦闘以外でレベルを上げる方法知ってるかな?」
「ナユタ、さすがにレベルが戦闘以外で上がる方法は
聞いたことがないわ」
そりゃあそうだろう
俺だっておかしいと思う
(使いたくない訳じゃないけど現実的には使えないから
言う必要ないかもしれないが
こそこそ隠れて盗み見てレベルを上げているのも
嫌だしこれも言っておこう)
「アリス、実はおれにはその、戦闘しないでレベルを
上げることができるんだ」
「へぁいっ!?」
アリスは驚きのあまり噛んでしまったようだ
「まあ、その実用的な手段ではないから
使えないと思うんだけどさ」
「でもレベルが上がるのよね!?
ど、どうやって?」
「その...
できれば引かないで聞いて欲しいんだけど」
「引く?
だ、大丈夫よわたしはナユタを信じているから」
「わ、分かった」
そして俺は自らの称号について語り始めた




