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風魔法と神秘の布  作者: そらのかなた
15/34

ナユタとアリス

ギルドを出たあと、屋台でスープを食べ

軽い夕食をすませた

スープを2つ頼みアリスには

「わ、私は奴隷ですのでご主人さまと同じものは」と

うんぬんかんぬん言っていたが無理やり食べさせた


所持金:48,700G


<風に乗っ亭>へ帰るとマーサさんから

「おやおやさっそく女の子を連れてきたのかい?

 見かけによらず

 すみにおけないね~」

とニヤニヤと小言を言われる


そして奥からはコック帽のようなものをかぶった

ゴードさんも顔をだす

「なんだなんだ、若いのは良いなあ」

と、

「いや、これには深い訳がありまして..」

と説明しようとするが


「いやいやいーんだよ

 みなまで言わずとも

 野暮なことはしないよ」

とマーサさんがおれの背中をバシバシ叩く

(な、なぜ叩く!?)


「奴隷のアリスと申します

 よろしくお願いします」


「ゴードだ、よろしくな」

「マーサだよ

 そうかい奴隷さんだったかい」

「でもナユタと同じであんたも礼儀正しい子だね

 こちらこそよろしくたのむよ」

と挨拶をすませ


「それで部屋のことなんですが

 二人部屋とかで空きはありませんか?」


「あら、あいにく満室なんだよ

 さっきも宿泊したいって人に

 他にいってもらったくらいでねぇ

 申し訳ないけど昨日と同じ部屋で我慢しとくれよ

 あとウチは部屋単位での料金だから

 もちろん追加料金もいらないよ」


「そうでしたか、もし空いていたらと思いましたが

 それならば仕方ないですね

 それにしても昨日はそれほどの人がいるような

 感じはしなかったですが

 なにかあるんですか?」


「おやそうかい

 あんたはまだひよっこだったね

 この時期は例年

 南側の森で<ゴブリンの大発生>が起きるのさ

 ゴブリン狩りのクエストも割高で依頼がでるし

 近隣の冒険者たちが稼ぎに集まってくるのさ」


「今日の昼にギルドから大発生近しのお触れも出たからな」


「へ~そんなことがあるんですか」


「町もゴブリン一色で討伐完了宣言のあとは

 祭りもあるから楽しみにしてな」


「祭りですか、楽しみにしてます」


と、アリスとともに部屋に戻ってきた


ようやく落ち着いてアリスと話ができる


流されに流されここまで来たが

色々と状況を把握せねばなるまい


ベッドに腰掛ける


座るところもないため

アリスにもベッドに腰かけるよう声をかける


「は、はい」

とアリスがソワソワと腰掛ける

おれに触れるくらいの距離に

そして覚悟を決めた顔でこちらに向き直り

おれを見つめる


「アリスさん、たぶんあなたが

 想像しているようなことを

 しようというのではないですよ」

「アリスさんがしたいのであれば

 こちらもやぶさかではないと言いますか

 むしろ大歓迎ではありますが

 いまは多分ちがうと思います」


アリスはハッとした顔をし

耳まで真っ赤にしうつむく


話しを始める

「オホンッ

 えーと色々と確認したいんですが」

「まずはアリスさんはこれで良かったんですか?」


「良かった、と言うのは?」


「いや、その...なんか成り行きで

 おれの奴隷になりましたが

 逃げたりもできたのでは?」


「えーと

 どうやらご主人さまはあまり奴隷契約について

 お詳しくないようなので説明しますが」


「もしご主人さまの奴隷にならずあのまま逃げれば

 わたしは別の誰かの奴隷になるか

 または魔物に襲われて死んでいたでしょう」


「先ほども言いましたが

 盗賊に襲われ主を殺された時点で

 わたしは所有者のいない奴隷

 言い換えればタダで手に入る状態の奴隷となりました」


「この状態の奴隷を見つければ

 どんな方だろうと

 奴隷の主になる権利を有してしまいます

 本当にどんな方だろうと」


「そんな状態のわたしに<マインドダウン>するほどの

 回復魔法をかけてくれる

 ご主人さまのようなお優しい主はなかなかいないと思います」

「わたしにとっては幸運だったと思いますが」


なるほど

確かにアリスの言う通りだ

客観的にみてもおそらくそうだろう


だが奴隷制度のない世界で暮らしてきたおれには

奴隷というのはなかなか抵抗がある


奴隷ハーレム

男が一度は夢見る展開かもしれないが

一歩相手の立場で考えれば

決して夢も希望もない絶望の世界だろう


「ちなみに奴隷って結構いるのかな?」


「なるほど

 珍しいことですが

 ご主人さまは奴隷自体をあまり見たことがないのですね」


「奴隷は貴族の方であれば

 所有していない人がいないくらいです」


「一般の方でも商人や冒険者の方などには

 奴隷を所有しているかたもおりますし

 一般的な制度ですよ」

 

どうやら広く認知はされているようだ


「そっか...

 また質問なんだけど

 奴隷解放ってできるの?」


「そうですね

 契約にもよりますが

 所有者の方が認めれば可能ですよ」


そうか、なるほど


「アリスさんは解放されたい?」


アリスが考え込み

少しの間沈黙する



そして口を開く

「奴隷にも借金であるとか、罪を犯したとか

 中には自分から奴隷に身を落とすものなど

 理由は様々です」


「わたしにも犯罪ではありませんが

 奴隷となった理由があります」


「そして、わたしは今がその時ではないと考えております」


「叶うならわたしが自分でそう思った時に

 ご主人さまに伝えさせてください」


「そこでどう判断するかは

 ご主人さまに任せますので」


そういって芯のある眼差しでこちらを見つめる

アリスの目からは強い決意が感じとれる


(おれにとってはなにも悪いことはない

奴隷への抵抗はぬぐいきれないが

この世界ではある意味それも権利のひとつ

アリスが思うようにしてもらおうか)


「分かった」

「それでは改めてよろしくアリス」


ホッとしたような表情を浮かべアリスが

「こちらこそよろしくお願いいたしますご主人さま」


「それから.. 

 できれば<ご主人さま>とか、

 おれに敬語で話すのはやめてほしいんだ」


「え?」 


「おれは奴隷にも慣れてないし、アリスを奴隷として扱う気もない

 おれを呼ぶときはナユタでいいから」


「それは..」


「素のアリスで居てくれるとおれも嬉しいんだ」 


アリスは少し顔を赤らめながら

「それは命令ですか?」


「そうだね

 初めての命令にしよう!」


「うぅ...

 分かりま...分かったわ、ナユタ...」


そう言いながら見つめてくるアリス


(ぐっは~、かわええ~~~)


「よよ、よしっ、それで行こう」


こうしてアリスが仲間となったのであった

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