第一章:哀眼の少女
「きゃあっ!」
学校の裏庭で、ボロ衣の少女が三人の少年に突き飛ばされた。
頭を手で覆って震える少女を少年たちはあざ笑った。
「あひゃひゃひゃひゃ! 見ろこの無様な姿っ!」
金髪の少年が指を刺して言った。少女は涙を流して哀願する。
「お願いです……やめてください……私は、私は」
「奴隷のくせに調子に乗るな!」
少年のうちの一人が、少女の髪の毛をつかんだ。
「いやあああ!」
「静かにしやがれ、この奴隷野郎」
そういうと少年は少女の頬を引っぱたく。
「ヒッグ……ッグ……」
声をおさえているが、やはり涙は止まらない。そんな姿を見た三人は、ついに爆笑してしまった。
「おいエイナ、お前は奴隷だ。だから俺たちに反抗することは許さない。今から三回、私はみじめな奴隷です、と言え。さあ、早く!」
「……」
怯えた様子で少年を見つめる少女―――エイナに、もう一人の少年が怒鳴った。
「言うんだ! このクズ」
そしてまた頬をはたく。エイナは地面に倒れてしまった。
エイナはポロポロと涙を流しながら、苦しそうに呟いた。
「私はみじめな奴隷です。私はみじめな奴隷です。私はみじめな奴隷です……」
ヒッグヒッグと泣きながら、提唱するように言った。少年たちは満足したのか、ニっと怖い笑みを浮かべて、顔を覗き込んだ。
「よろしい、よくできました」
そして金髪の少年はとなりの二人に呼びかける。
「おい、そろそろ授業がはじまるぞ! 急いで教室に戻ろう」
三人はゆっくりとその場を去っていった。
注意書き。
この物語は、「第○章:○○○○」という形でその章のプロローグ的なものをし、次に「(○):○○○○」というふうな形で進行していきます。でも普通に読んでいれば何ら支障はないので、大丈夫だと思います。
また、ジャンルを「冒険」から「ファンタジー」に変更しました。色々なところを旅するという意味ではまた別のジャンルになるかと思われますが、少し非現実的要素(たとえば天使とか)を加えようという予定でして、ファンタジーにしようと思います。