泉
こんこんと湧き続ける泉がある。
それも、泉の水に触れると、たちどころに怪我が治り、それを飲むと若返るというものだ。
私はそれを神話か伝説的なもので、この世界にはないと思っていた。
だが、それは実在した。
魔術、というのを知っているだろうか。
魔法と同じととってもらって構わない。
この奇跡の正体は、その魔術が関わっているのだ。
だが、それがあるのはアフリカの奥地でもなければ、ヨーロッパの洞窟でもない。
日本の、それも街のど真ん中にある。
手野市というのは大阪府東部に位置する地方自治体の一つだ。
人口約25万人ほどの街ではあるが、魔術者の聖地として知られている。
こここそが、魔術に最適な土地なのだ。
世界のどこであっても、この地域以上に魔術が使いやすい土地が存在しないと言われる。
そこにある魔術学部がある国立手野大学の中、第3キャンパスの禁足地に泉があった。
禁足地ということもあり、初代学長の時代から今に至るまで、誰一人としてその領域に足を踏み入れたことがなかったようだ。
伝承の類は残っていない。
この水の効能も、副作用も、何もかもが謎だ。
だが、皮膚湿疹や火傷跡、それ皮膚年齢に体内年齢も。
全てが綺麗になって、若返った。
いまは手野大学医学部と魔術学部が共同で研究している。
早く結果が欲しいところだ。