表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寂しさが浮かぶ街  作者: 蛍光灯
2/2

復讐は笑顔で隠すことができるのか

明るい丸い月が僕を見ている。

なんだか不思議だ。バカにされているような気もするし。共感してくれている気もする。だけど、心境としては怖い。

この薄暗い部屋で1人、月しか僕を見るものはいない。生憎、母親はずっと、下の部屋で、取り憑かれたように画面を覗き込んでいるし、父親は家より外の方が父親のようだ。

2人と話したのなんてもう一ヶ月前になる。


「飯、ろくに食ってないな。でも、どうせ今日も母さんは何も作ってくれていないんだろうな。」


口に出してみて、悲しくなった。

今日は僕の誕生日だというのに。

こんな狭くて薄暗い世界に1人だ。

自分を自分として見るのではなく、他人として見ている感覚に陥る。孤独と虚無感からくるこの目頭の熱さは、なんの意味も持たないことに僕は気づき始めていた。


当然、気にかけてくれる友人だって、恋人だって僕にはいない。初めこそ寂しくて辛かったけど、今じゃもう完璧にそれが当たり前になっている。

でも、それはやはり、自分に起きている物事全てを他人事のように感じているから。


母親にガミガミ文句を言われたり、

父親に愛が有るのかわからない笑顔でみつめられても、これは僕には関係のない出来事であり、どうでもいいことなのだ。


泣きじゃくったあの日が懐かしい。

愛を求めていたあの僕が、今もいるかと聞かれたら、それにYesと答えることは出来ない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ