第2話
『契の試練』―それは『契の魔石』と呼ばれる石を媒体に、自分の魔力の姿を『具現化』させ、『同調』することで、それを『使い魔』として契約する試練。
指紋や声紋と同じで、魔力の姿は全員違うため、使い魔の姿もみな違う。
使い魔は魔術師にとって生涯のパートナーとなる。
今日はその『契の試練』を行う大切な日。
「にも関わらず遅刻してきて、何でそんな緊張感のない顔してられんのかしら…。」
ミリアが、はぁと息をつきながらヴァンに視線を向ける。
「何でって別にこんなの緊張する事も無いじゃん。なぁ陸…。陸?」
陸に視線を向けるとそこにはいつもの元気な姿は無かった。
かわりに青ざめた顔が校庭で行われている契の試練の様子を凝視している。
「…陸お前もしかして緊張してるのか?」
ヴァンの問い掛けに陸が反応し、喋り出した。
「当たり前だろ!契の試練だぞ!なんでお前は緊張しないんだ!?次の次俺らだぞ!てゆーかなんでみんなの真ん前でやんなきゃいけないんだ!?もし失敗したら明日から学校行けねーよー!」
陸は一気にそう言うとゼイゼイと息をきらした。
「とか言ってるあいだに、次俺らだぞ。」
「うそー!」
陸は明らかに緊張しているようで、あーだの、うーだの呻き声をだしている。
「おっ!やっと俺らの出番か!」
前の班は全員成功したらしく、みんなで嬉しそうに泣いていた。
「6班は早く来なさい。」
担任のライト先生が呼んでいる。
「よし!行くか!」
陸はまだ呻いていたがミリアとヴァンで引っ張って来た。
「全員いるな。説明はしてあるが一応確認だ。」
そう言って、ライト先生は手元の本を開いた。
「使い魔の契約時、契約者は2人までサポートを付けていい。石に魔力を込めれば後は勝手に出てくる。なんとしても『同調』しろ。以上!」
(えらい適当に言うな…。)
「なんだヴァン。」
「えっ!いえなんでも…。それより早く始めましょう。」
「そうだな。まず誰から行く?」
ライトが問いかけて来た。
「陸、はあれだから無理ね。私が最初にやるわ。」
そう言ってミリアが一歩前に出た。
「わかった。サポートはつけるか?」
「はい。ヴァンと陸を!いいわよね陸?」
陸はサポートなら、と言って頷いた。
「よし!ではミリア契の石を持ち魔力を込めろ。」
「はい。」
ミリアはライトの手から石を取り魔力を込めた。




