『戦国御伽草子』予告
その名の通り、戦国御伽草子の予告です。ただし、遙か昔に作ったものです。
速穂児のところはもう本編でも出てきていますね。
『あたしの家に来るといい。きっと、生活には困らないわ。ね?だから、お願い』
そうか…それもいいな。
新しい名、新しい生活。また、一から始めるのも、悪くはないかもしれない。
『いいでしょう?』
瑠螺蔚は笑った。
それに答えるように、俺も笑った。
「どうして逃げなかったのよ」
「逃げることなど出来ませんよ」
「……………………バカね」
「はい」
「信じますよ宗主。他でもないあなたが言うのですから」
「ねぇ、わかって高彬。あたし、誰も死なせたくないのよ。あんたも、馨慈郎も、尉高も、タキも」
「う…嘘よ…」
「嘘じゃァねェ。俺が殺したから、間違いねェ」
「ごめんなさい高彬」
「謝るくらいだったら、絶対、死なないで」
「それはムリよ」
あたしはくすりと笑う。
「出来ない約束はしないようにしようと思うの」
「このまま、何処かへ行きたいよ。佐々家の主という枷を捨て去って、このまま」
「行けたらいいわね」
でも行けない。
「泣いていたのよ、詫嶽」
「凰姫」
「俺を忘れるな」
「岸和田王はもう、駄目だ」
「……冗談を……」
「次の王はお前だ、月天。ー…否、磨墨王」
「では、お前は何人殺した?」
「流石。鼻が利くわね。あたしは…そぉねぇ…ま、あんたの2・3倍ってとこよ」
「ふん。気絶もしないのね、月天」
「族…その、族の名は?」
「そうだな…。稀妥一族はどうだ?稀に見る安らかにするもの。類稀な一族。お前は今から稀妥の首長だ」
「月天王!」
真秀が、叫んだ。
その瞬間、わたしの魂は確かに千切れた。
「瑠螺尉」
すべて忘れて幸せになれ
こうして見ると…大分偏ってますね…兄上なんかかけらもいないじゃないですか。