映画館にて
私の最寄りの駅には映画館があるぐらい大きなショッピングモールが広がっている。私の家から散々平坦な道をまっすぐ歩いた後、交差点を左へ曲がると駅が見える。
そこに差し掛かった時ふと嫌な予感がした。
「ところで今日見る映画って何?」
さりげなく聞いてみる。
「さぁねぇ~、何見たい?」
「えっ、、、何見るか考えてなかったの?」
「そだねー、あられが見たいので良いよ?」
驚いた。まさか嫌な予感が見事まんま的中するなんて、、、。
”何考えているんだ私の姉”と思ったのと同時に”なんでなんの映画を見に行くのか行く前にに聞かなかったのか私”という考えで頭が埋め尽くされた。
当のお姉ちゃんは何でもない顔をして不思議そうにこちらを見つめている。
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「やっと映画館着いたー!」
「ちょっ、声大きいよ!」
おてんば娘とはまさにお姉ちゃんの為にある言葉なのだろうとつくづく実感する。
周囲の人は”ビクッ”ってなった後(えっ、、、何この人達?)と心の中で呟いていそうな顔をしていた。
「どう?ここ来たの久しぶりじゃない?」
「久々。何か前来た時よりも小っちゃくなっている気がする」
「でしょぉ!前あられが来た時なんて頭がまだ私の肩も超えてなかったのに!」
そういいながらお姉ちゃんが”前映画館に行った時の私”の形をなぞらえてる。
「そういえば映画何にしよっか?あられは見たいのありそう?」
お姉ちゃんが映画のタイムスケジュールが写されている大きなモニターを指さして言う。
タイムスケジュール(この時の時刻は9:35)
9:55 ビタミンZ ~料理人の腕~
10:20 お金出すので転生させてくださいⅡ ~バッファローの群れの中で~
11:00 ムチムチなビート ~さよならは暴言と一緒に~
11:45 アイスクリームよりも私を好きにさせる方法 ~チョコミントはやっぱり美味しかった~
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やばい、どれもつまんなそう、、、強いて言うなら”お金出すので”のやつだけど、、、
「あっ!お金出すので転生させてくださいってやつ席全部埋まってるってばよ!」
「マジかー」
どうしたものか、、、唯一の頼みの綱がなくなった。
11時まで待つのも気が引けるし、ビタミンZしか選択肢がなくなった。
「じゃあさ、ビタミンZってやつ見ない?」
お姉ちゃんも考えてることは同じみたいだ。
そんなこんなでビタミンZっていう内容がとてつもなく心配な映画を私たちは見ることになった。