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カレーライス



父に謝られた後、私は放心状態になって立ったまま気絶していたらしい。

目が覚めたのは、、変にあまじょっぱい匂いが鼻の奥の神経をくすぶらせたからだった。私はリビングのソファーで毛布を掛けられて眠っていた。



「ん?、、、起きたか」



父は似合わないエプロンを着けていた。

”馬子にも衣裳”という諺はあるが父のそれはその諺に収まらないぐらい、、、



「変、、、」



「え?、、なんて?」



「いや、何でもないよ」



「そうか、、、」



「ところでさ、、なんで料理なんかしてるの?」



「いや、、、さっき全然食べてなかったろ?」



「それで、、、つくってたの?」



「まあな」



父はいつになく気恥ずかしそうにしていた。少し沈黙が続いた後、”ボコボコ”と何かが沸騰するような音が聞こえてきた。”できたぞ”と父は言った。



「カレーだ、、、」



「ああ、、まあ、、俺だと作れるもんがそんぐらいしかなかったもんでな、、、」



「いただきます」



カレーを一口食べた時、甘さ、しょっぱさ、辛さ、なんていう味覚はなぜか感じなかった。

ただあったかいという感覚がした。



「・・・おっ、、おい、、、どうしたんだ?」



父が拍子抜けした顔でこちら側に前かがみになっていた。



「え?」



刹那、視界がにじんでいることに気が付いた。



「何これ、、あれ、、なんで、、、」



私、なんで涙なんか流してるんだろう、、



「まって、、これ、、あれ、、やだぁ、、、おかしいな、、、なんか私、、変だわ、、、」



父はどうしていいのか分からないといった顔であたふたしていた。涙は私の頬をつたって、持っていたカレーに滴り落ちていった。私が泣き止むまで、父は起きてあたふたしていた。私が泣き止むと、父は”先に寝るぞ”と言って階段を登って行った。

私はカレーをもう一口食べた。ずいぶん長いこと泣いてしまっていたので、カレーは冷めていた。



それでもあったかいと感じたのは、私の舌がバカだからなのだろう。

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