8話 VIP室
VIP室の中に入る。
そこにはライトで照らされたショーケースの中に一つのスニーカーとTシャツが飾っている。
スニーカの方はT&Aと言うブランドのスニーカー。
(これって、海外のセレブたちもはいてるすごく高いスニーカー、なんでここに…)
Tシャツの方にはロゴでT&Aと書いている。
(T&Aは服とか展開してないはず…)
スニーカーをよく見る。
「こ、これって来月発売のモデル!?」
私は思わず声を上げた。
T&Aとはスニーカー界の中でも知らない人は居ないほどの超有名ブランド。
私は優に聞く。
「ねえ…優なんであるの…」
優はショーケースを見る。
「秘密だ…」
優は今までに見たことのない顔をしている。
(あれ、いつもの優じゃない…)
優はポケットから鍵を出す。
ショーケースの鍵穴に挿し、ショーケースが開く
優の手には、未発売のモデル。
「春…これ、履いてみて…」
優はそれを私に渡す。
「…え…いいの?」
未発売のモデルを手にした瞬間、私は足が震えた。
今までこんなことになったことはない。
(このスニーカー軽い…)
私はそれを履く。
するとまるで私の足に吸い付くように、ぴったりとフィットした。
優が私を見つめている。
「春…似合ってる…」
いつも、そんなこと言われてるような気がするのになんでこんなにも嬉しいのだろう。