42 花火大会 後編
花火大会会場に着くと、そこは人々が多く、どこに動こうが人混みに塗れる。
「人がすごいね…!迷子になりそう…」
「そうだね…!ここまで人が多いとは…!」
俺もここまで人が多いと思わなかった…。
「さて、屋台で何買おうか?」
「ん〜?焼きそばとか?たこ焼きとか?あとは…」
「やっぱり、定番は押さえておきたいよね…」
「うん…!」
「食べたいものを買いに行こう!」
そうして、焼きそばに二人で列に並ぶ。5分後俺たちの順が回ってきた。
「焼きそばを2つください!」
「あいよ!ちょっと待ってな!1000円な!それと、二人ともカップルか?」
「いえ、夫婦です」
「いいねぇ!夫婦ねぇ!若いのに熱いねぇ!二人とも!アツアツマシマシにしておく!」
「すみません、ありがとうございます!」
「いつまでも!仲良くな!」
と、笑い俺たちにそう言って焼きそばを貰い、次はたこ焼きを買う。たこ焼きもたこ焼きで並びはしたが順調に買えた。
さっきの焼きそばのおじさんが熱血だっただけで効率よくやっていけば圧倒的な回転率で店が回せるが…。
「よし、買ったから帰ろうか…」
「そうだね」
そうして、帰ろうとしたら…
「あれ?荒崎じゃん」
「げっ!?」
「げっ、って何?」
そう、いつも俺をからかってくる女子二人だった。
「しかも、隣にいるの彼女?」
「ってか、荒崎彼女いたんだ…」
と言った2人の顔は少し、複雑そうだった。
「そうだ、彼女がいる。だから、一緒に見たいわけだ…言いたいことはわかるな?」
ここはあえて突き放す。これしか突破口を思いつかなかった。
「う、うん…わかったよ…」
「それじゃあね…」
「…おう…すまないな…」
と、俺は二人に聞こえない小さな声で言った。
「さぁ、帰ろう…」
「うん…!そうだね」
そうして、家路につく。その間、雑談をしながら二人で街灯が照らす中を歩く。
「ただいま〜」
二人で出かけると、さつきが玄関まで出迎えてくれる。
「ニャア」
と甘えて鳴いている。
「ただいま〜、さつき」
本当に猫は可愛い!異論は認めない。
それはさておき、花火を見るために先に夜ご飯を食べる。と、その前に手を洗いうがいをし、焼きそばとたこ焼きを食べる。
「「いただきます!」」
まず、焼きそばから食べる。油でベチャベチャとしていなく、それでいて味も丁度いい。とても美味しい。
「焼きそば、美味しいね!」
「うん、あの店主さん熱血だけどしっかりしてたね」
と、智華さんがそう言って俺たちは二人で笑いあった。
次は、たこ焼きだ。たこ焼きも中がとろっとしていて、たこも大きく、1個で普通のたこ焼き2つ食べたような満足感がある。
「このたこ焼き、たこが大きいね」
「そうだね、毎年ここのたこ焼き買いたいね」
「うん、そうだね」
俺たちは、今回の屋台のものは当たりだと思った。
時間を見てみると、あと5分ほどで花火が上がる時間だった。
「あと、5分ぐらいで花火が上がるみたいだよ」
「そうなの…?それなら、もうベランダに出ようよ」
「そうだね、そうしようか」
ベランダに出る。夜になっても暑い。ここ最近は、毎日熱帯夜だ。夏の夜は静かだ。エアコンの室外機の音、虫の声など、普段気にしたことない音がよく聞こえる。
「会場の光が見えるね」
「うん、その場にいるときは感じなかったけど、傍から見ると意外と明るいね」
俺たちはそんな事を話していると
『ドォオオン!』
と、その場に轟音が響く。
「おぉ…!花火だ…」
「綺麗だね…!」
「そうだね、智華と見れてよかったよ…」
「え…?麗杜君今、私を名前で…」
『ドォオオオン!』
と、また花火が夜の空に咲き乱れる。
「ごめん、その続きが聞こえなかったけど…」
「ううん…!な、なんでもない…!」
何か、腑に落ちないがまぁいいだろう。
そうして、二人で夜に咲き乱れる、花火を観る。
大輪の花や、小さく集まった花、ニコちゃんマーク、某蚊取り線香メーカーのCMのような花火まで、多種多様な花火が暑い夏の夜空に轟き、散る。まるで、人間の栄華のようだ。何事も儚い。これに風情を感じる日本は感情性が豊かだろう。
「毎年さ、二人で見たいね」
「そうだね…いずれは」
俺のその声は花火の轟音にかき消された。
「麗杜君、さっきなんて言ったの?」
「い、いや、な、なんでもない…!」
そうして、夜空を観る。瞬く星と花火。これぞ、夏夜の風物詩だろう。
今夏は、俺史上最高の夏になった!これを更新できるように今後も過ごしたい!
そう、心のなかで俺は思い、来年もこの場所で二人で見る。これが、俺の夏の代名詞になるのだろう。
去年まで一人だったのに、今年は二人と考えると、楽しく自然と笑顔が溢れる。
これが、一番だろう。来年もこれに向けて頑張ろう。そう思った。
後編はいつもより長めでしたが、いかがだったでしょうか?楽しんでいただけたら何よりです!
※累計4,500PVありがとうございます!




