30 大好きなあなたへ
俺は、智華さんと結婚して3ヶ月が経った。あれから、いろいろなことがあり、デートや一緒にいる時間がとても楽しかった。
どれもこれも楽しい思い出だ。そんなこんなで俺はあと数日で夏休みになる。基本的に高校3年生の夏休みは就職の人は企業見学に行ったり、就職に向けていろいろ動き始めたりする。一方、進学はAO入試で合格が決まっている人がいれば、今から指定校推薦や一般入試で決まる人もいる。
ただ、俺は自分の会社をそのまま専念するので問題はない。今、考えると高校生の社長はあまり聞かない。
それで、周りから羨ましがられている。「お前、いいよな〜自分の会社をそのまま経営できるなんて」や、「成人したら何か奢ってくれよ?」なんてことを言われたりしている。
それはそうとして、3ヶ月記念に何か知華さんにしたと考えている。
しかし、何をすれば良いのか?俺は全く思いつかない。日常生活で必要なものをプレゼントすれば良いのか?それとも、ブランドの服やアクセサリーをプレゼントすれば良いのか?俺は悩んだ。
智華さんが喜ぶものはなんだろう?そう考えながら、学校へ向かう。一応、女性には宛があるから聞いてみるか…
放課後になり、文芸部の面々が集まったと言っても俺と沙莉しか居ないのだが…。
「沙莉、話があるんだが、少しいいか?」
「どうしたんですか?先輩?何か悩み事があるんですか?」
「実はな…」
俺は、沙莉に俺が考えていることを話した。
「ふむ、なるほど…智華さんへのプレゼントですか…」
「そうなんだよ、俺は女性のものにはまるっきりだからさ、沙莉ならいいアドバイスをくれると思って」
「う〜ん、そうですね…私は何かをくれるその気持ちだけが嬉しいですけどね、でもそうですね、智華さんが喜ぶものは何か知ってますか?」
「そうだな…、ぬいぐるみとかはどうだろうか?」
「ぬいぐるみ…いいと思いますよ、ただ、先輩センスのないぬいぐるみは辞めてくださいね?引かれますよ?」
「うるせぇ、わかってるよ…ありがとな沙莉」
「いえいえ、先輩の役に立てて良かったです!」
「何の話をしていたんですか?」
「うわあああ!!」
「きゃあああ!!」
当然、高橋先生が俺達に声をかけてきた。
「もう、先生…驚かせないでくださいよ」
「すみません、それはそうと、荒崎君と葉山さんは順調ですか?」
「はい、そうですね…そこまで進んでいないですけど頑張って書いてますよ」
「そうですか、それなら良かった」
「それと、先生どうして部室に?何か用があったということっすよね?」
俺が、そう聴くと先生は少し黙ってからこう言った。
「実は…俺、学校を辞めることになりました。」
「は?ちょ!どういうことっすか!?」
先生が口にしたのはとんでもないことだった。
「ち、ちなみに理由を聞いても?」
先生は一呼吸置いて話し始めた。
「えぇ、構いませんよ、俺は元々大学生の時に大手芸能事務所に就職する予定でしたが、その時、ちょうど国語の先生がいないと言われこの学校へ来たんです。でも、ここへ来てちょうど5年が経ちました。新任の先生が来たりして教職をそろそろ離れようと思いまして…」
「そうっすか…でも、俺達には先生を止める権利はないっす、でも寂しくなりますね」
「はい、高橋先生、短い間でしたがありがとうございました」
俺達は高橋先生に感謝を伝えた。
「それで、いつ学校を退職するんですか?」
「大体、一ヶ月後とかですね」
「夏休み中になるんですね」
「えぇ、そうですね…二人とも俺がいなくなったあとも頑張ってくださいね」
「はい、ありがうございました。先生」
先生は教室を出る時に一礼して出ていった。
「まさか、先生辞めて芸能事務所に就職するとは思わないよな…」
「そうですね、先輩が引退したら私一人しか残らなくなるんですよ?廃部になったらどうなるんですか?」
「いや、大丈夫だ。沙莉なら今後も出来るさ心配すんな」
「はい、ありがとうございます!先輩!」
こうして、その日は終わった。
そうして、終業式。校長の話が終わり高橋先生が体育館のステージに立って話し始めた。この学校を去ること、そして新たに先生が勤める場所をその場所は誰もが知る有名なアイドル事務所だった。
その事を言った瞬間、体育館全体がどよめく。学校の先生がアイドル事務所に勤めるとは想像もしていないだろう。
高橋先生は多分朴念仁だ。まぁ、そんな先生だからよかったこともあるが。
学校から帰り、智華さんが出迎えてくれた。
「おかえり、麗杜君、お昼ごはん出来てるよ」
「ありがとう、智華さん。」
「うん、先に手を洗ってきてね」
「は〜い」
知華さんは何がいいんだろうか?明日から夏休みだし、探してみるか…




