2 事情
「私ね、実は両親に内緒で大学に受験したの」
「え?マジですか?なんで…内緒にしたんすか?」
先輩は少し顔を曇らせながら言った。
「私ね、親から進学じゃなくて就職しろって言われてるの、でも私は就職はしたくなかった。だから、親に内緒で受験して受かったんだけど『お前は大学行くな、これ以上うちの金を使うな』って、言われてだから家出してきたの」
「智華先輩…」
俺は、言葉を失った。先輩にそんな事があったとは…
「ごめんね、そんな話聞きたくなかったよね」
先輩が申し訳なさそうに、俺に言う。
「いえ、気にしないでください。辛かったですよね、いいですよ。俺の前だけは全部吐き出していいですよ」
そう、言うと先輩は俺に抱きついて「胸、借りるね」といい、そのまま先輩の嗚咽だけがリビングに響いた。
「本当は…大学に通いたかった…!親の言いなりになるのはもう嫌っ…!」
先輩は、蓄積したストレスを吐き捨て、先輩は堰を切ったように泣いた。
そうして、そこから十分程が経った。
「ごめんね、ありがとう」
「いえ、少しは楽になりました?」
「うん、おかげさまで」
そういった先輩の微笑みは少し引きつっていた。
「無理はしないでくださいよ」
先輩は、メンタルがボロボロで俺が来たとき先輩は身を投げようとしていたらしい。
「先輩…」
「先輩呼びは辞めて、名前で呼んで」
「ち、智華さん…」
とても、恥ずい…。
「よろしい…」
「は、恥ずいっすよ先輩…」
「こ〜ら、先輩呼びに戻ってるよ」
「す、すみません」
智華さんはあんな感じだが、まだなにか隠している気がする。だから、俺はこういうことしかできない。
「智華さん」
「何?」
「行く当てないんですよね、だったら、このまま俺の家で住みませんか?」
これだった。
「えっ…?いや、それは…申し訳ないよ」
「いや、智華さんにはお世話になったので、そのお礼としてと考えたんですけど、嫌なら全然断ってくれてもいいですけど」智華さんは、少し考え、頷きこう言った。
「そ、それならありがたく住まわせてもらいます。」
その顔は、親から逃れられた安堵の表情と不安が混じっていた表情をしていた。
「私が住むことは決まったけど、部屋はあるの?」
「部屋は元々、両親がいたときから空いていた部屋を使ってください。」
「あ、あと服とかがないからそれも買いに行かないと」
「確かにそうですね、明日は休みなので一緒に買いに行きましょう」
智華さんのためにここは…使いたくないけど禁断の手札を使うしかないのか?
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