14 夫婦のデート 前編
そんな事があってから数日後、俺達の仲は前より一段と夫婦仲が良くなった気がする。やはり、夫婦間で隠し事をなくしたことによって、本音で話せるようになった。
俺は智華さんに何も還元できていないと思う。俺が智華さんを拾ってから俺は智華さんを働かせすぎだと思ったので俺は智華さんを久々にデートを誘おうと思う。例えるなら、会社の先輩が後輩を労って飲みに行くような感じだ。
「智華さん、今いいかな?」
「何?どうしたの?」
「そのさ、デートしない?」
「うん、いいけど…急にどうしたの?」
「いや、あのね、最近智華さんに何もできてないなって、思って…」
「いや、私は…ううん、君とデートしたい」
「そっか、じゃあ今週の土曜日でいいかな?」
「うん、いいよ」
久々のデートは決まった。俺はデートプランを練る。智華さんが喜びそうなプランを考えなければ…
そうして、デート当日
「おはよ〜!起きて〜麗杜君」
「ん?ん〜っあ、おはよ〜、智華さん」
「朝ごはんできてるから、顔を先に洗ってきてそれから一緒に食べようよ」
「うん、わかった」
俺は顔を洗うがそこまでスキンケアをしているわけではないので水で顔を洗い、ダイニングへと向かった。
「お待たせ」
「それじゃあ、食べよっか」
「「いただきます」」
いつもながら美味しい智華さんの料理は今日はなぜか一段と美味しく感じる。
朝ごはんを食べ終わった後は出かける支度だ。俺は基本的に朝ごはんを食べるときはパジャマなので着替えて歯磨きをし、出かける準備ができた。
「智華さん、準備できた?」
「うん、できたよ〜今行くね」
といって、玄関に来た智華さんを見て俺は驚いた。
「ど、どうかな?似合ってる?」
「う、うん!可愛いよ!いつも可愛いけど、今日は更に可愛いよ!」
「そ、そう?照れるけど嬉しい…ありがとう」
そう言った智華さんは赤面していた。
「じゃ、行こう」
「うん!」
俺は部屋の鍵を閉め、智華さんの手を握り、出かける。デートは久々だったのでお互いにはしゃいでる。
「えっと、どこに行くかって決まってるの?」
「そうだな…、一応決まってるけどどこか行きたい場所があったら言って」
「うん、わかった」
「早速だけどいいかな?」
「うん、いいよ」
「どこか、ゆっくりできる公園に行きたいな」
「公園か…いいよ、行こっか」
「うん…いいけど私の行きたいところでいいの?麗杜君が行きたい場所があるなら…」
「智華さん…これは智華さんを労うためのデートなんだよ、もっとわがまま言っていいんだよ」
「うん、そっか…ありがとう、麗杜君じゃあ、今日は君に甘えるね」
と言って、大胆に俺の腕に抱きついてきた。
「ちょ!ちょっと…」
「何恥ずかしがってんの?私に甘えていいて言ったの君でしょ?」
「そ、それは…そうだけど…」
(こ、これは…!聞いてないよぉぉぉおおおおおお!!!!!!!!!!)
俺の心が逝く前に早く公園に行かなければ…!
「はぁ…はぁ…、つ、着いた…」
「だ、大丈夫?」
「だ、大丈夫…、けど心が…」
智華さんが可愛すぎて、色々やばい本当に…
「それにしても、よくこんないい公園知ってたね」
「うん、小さいときに来たときにね、ここの公園のここから見える景色が綺麗だなって、思ってね」
正直、ここの公園は昔はそこまで人はいなかったが、年々人が増えていき今では子連れの方が多くなった印象がある。昔から子連れの方はいたがそれ以上に増えた。
「へぇ〜、そうなんだ小さいときっていつから?」
「そうだな〜?物心からついたときからかな?」
「そんな前からなんだね」
「そう、あとは…」
俺たちは昔話に花を咲かせた。家族のこと、小さいときの将来の夢、思い出話などなどそれはたくさん話した。
「そうなんだよ、じいちゃんは俺が小さい時から色んな場所に連れってくれたり、色んなものを買ってくれたりしていつでも優しいじいちゃんだったんだよ」
「そっか、いいお祖父さんだったんだね」
「それはもう、俺はじいちゃん子だったからね」
もう、じいちゃんはこの世にはいないが…
「それで、智華さんはお祖母さんの話をしてたよね」
「うん、そうおばあちゃんはね、厳しくも優しい素敵なおばあちゃんだよ」
「そうなんだ」
「それでね…!おばあちゃんは美容師をやっててね、いつも髪を切ってもらっててんだよね」
「やっぱり、いいよね自分の身内に美容師がいるって…」
こういう他愛のない話をしていると時間が経つのが早い。
「あれ、もう12時?」
「嘘!もうそんな時間経ったの?」
「何処かで、お昼ご飯食べようか」
「どこがいい?」
俺が考えていたのはファミレスだが、智華さんはどこがいいんだろうか。
「私は、ファミレスがいいかな?」
「他のところでもいいんだよ」
「ううん、いいのファミレスで」
「そっか、じゃ、行くか」
「うん」
正直、俺が予想していた場所よりは場所は違った訳では無いが、だが本当にいいのだろうか?
「好きなものを何でも頼んでいいよ」
「何でも、いいの?じゃあ、これがいいかな?」
智華さんが指さしたのは豚骨ラーメンだった。
「豚骨ラーメン…?」
「うん、私ねこってりとした味のものが好きなの」
「そうなんだ、初めて知った。」
「だって、言ったことがないからね」
意外だ。まさか、こってりした二郎系のラーメンが好きだったことや、味の濃いものが好きだったということも初めて知った。
「そっか、じゃあ俺は…和食御膳かな?」
「ふふっ、麗杜君は相変わらずだね」
俺はタブレットを取って注文した。今の時代は便利になった。配膳ロボットに注文するタブレット。これも働き方改革の一環で行われてるのだろう。
そして、先に智華さんの料理が運ばれてきた。智華さんが頼んだ豚骨ラーメンは白濁した濃厚な豚骨スープで麺はスープに合う細麺でチャーシュー、白髪ネギ、キクラゲがのっている想像するような豚骨ラーメンだ。
「先、食べててもいい?」
「もちろん、いいよ」
智華さんの慰安デートなのだから、もちろん智華さんファーストだ。
そうして、俺の料理が運ばれてきた。
俺が頼んだ和食御膳はご飯、味噌汁、焼鮭、天ぷらとかなり豪勢なメニューだがこれが2000円ほどで食べられるので企業努力には頭が上がらない。
「俺も食べよう」
「いただきます」
料理が来て食べていると、偶然とある人物に遭った。
「麗杜…先輩?」
声をかけてきたのは沙莉だった。
「沙莉…?」
「麗杜君?この子は…?」
や、やべぇ、こ、こここれが修羅場って言うやつか?
今回は話が長くなりましたが、前編となります。後編は後日投稿いたしますので、お待ち下さい。